朝日「慰安婦誤報」で、トップは引責辞任しないのか

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30年間やり続けた爆弾リレーがいよいよ爆発した

   いや、これがジャーナリズムという共通のモノサシを持っていて、納得できないことがあればばんばん同業他社に転職できるジャーナリストなら文句も言えるだろう。でも、朝日新聞社の社員はその多くが新卒で入って定年まで勤め上げるサラリーマンである。社風に染まることはあっても、社風に逆らって泳ぐことなんてハナから期待しないほうがいい。もちろん、本来は権限のある人間が率先して身を正すべきだったが、年齢的に上がり待ちの彼らもまた、あえて泥をかぶる気にはなれなかったのだろう。


   なんとも低レベルな話だと思うかもしれないが、同紙が30年間誤報をほったらかしにしてきた真相は、大方こんなところだろう。言いだしっぺの記者が今春退職した直後だという事実も、それを裏付けているように見える。30年間やり続けた爆弾リレーがいよいよ爆発したわけで、まるで30年間の無責任の当事者みたいに見られている現経営陣には、筆者はちょっぴり同情している。


   とはいえ、そういう会社で禄を食んできた以上、きっちり責任はとらせるべきだ。第三者機関を入れて調査報告書を作り、事後処理のめどが立った時点で経営トップが引責辞任するくらいのみそぎは、最低限必要だろう。


   それすらやらないようでは、これから朝日が紙面で、企業や政治のいかなる責任を追及しようと、もはやネタにしか見えないだろう。とりあえず、朝日新聞社に取材されたくないという人は、朝日の記者に何か聞かれたら「30年間誤報をほったらかしにしといて謝罪一つしない朝日新聞にお答えしますが~」なんて枕詞をつけてみてはどうか。恥ずかしいからきっとボツにしてくれることだろう。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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