「越境・ノマド婚活」で大勝利 ウェブデザイナー女子の勝因とは

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   「若い男女が結婚しなくなっている」要因のひとつに、多くの女性が未だに男性の「収入」を実は重視していることが挙げられそうです。そんな「条件」は、年収だけではありません。夫の年収は600万円以上、自分は自己実現的な仕事をして、新居は今住んでいるところからそう遠くない場所で、夫の実家とは距離を置いて……など、いくつもの「条件」を挙げる女性も多いのですが、現実にはそこまで沢山の条件を満たす男性なんて、そうそういるものではありません。

   そんな中、思い切って「条件」を絞り、婚活を成功させた女子がいます。フリーのウェブデザイナー、明子さん(30歳、仮名)が実践したのは、どこでも仕事ができることを売りにした「越境・ノマド婚活」でした。

地元にこだわっていては、結婚相手は見つからない…

越境先にあるのは…
越境先にあるのは…

   明子さんは、九州の地方都市生まれ。地元の短大を出た後は、ごく普通のOLとして働いていました。が、もともと好きだったデザインの仕事を諦めきれず、ウェブデザインの専門学校へ。卒業後はフリーペーパーを発行する会社に就職しましたが、激務のために退職し、フリーランスになりました。

   ただ、明子さんには「人脈」がなく、なかなか仕事が受注できません。地元の同級生がどんどん結婚していくのを見ると、「私も結婚して安定したい」との思いが膨れ上がってきました。でも、デザインの仕事は続けたい。とりあえず地元の婚活パーティーに参加しましたが、男性たちの年齢は一回りも上で、話が合いません。回数を重ねるうちにメンバーも似通ってきて、微妙なムードに……。

   地元にこだわっていては、結婚相手は見つからない。そう考えた彼女は「越境・ノマド婚活」に打って出ます。大手婚活サイトに登録し、相手の居住エリアは「全国」、年収は「こだわらない」に設定。親との同居もOKとしました。とにかく「結婚して仕事も続ける」ことを目標に、全国区で結婚相手を探すことにしたのです。

800キロ離れた相手と結婚して「生まれ変わる」

   専業主婦になりたいとは思わない。ただ、自分の仕事を理解し、一緒に助け合える相手を求めた明子さん。婚活サイトを通して出会い、メール交換で「相性が合うな」と感じたのは、なんと800キロも離れた岐阜県の会社員男性でした。

   「岐阜県か…遠いなぁ」と思ったものの、観光も兼ねて一度、出掛けてみた明子さん。そこで彼と対面し、2~3回のデートを重ねて結婚に至ったのでした。親や友人もびっくりの「越境・ノマド婚活」でしたが、「とにかく自分を理解してくれる相手と結婚する」ために、相手がどこに住んでいようが関係ないと腹をくくったのですね。ウェブデザインの仕事は、クラウドソーシングで受注することにしました。明子さんの月収は10万円未満で、彼の収入も多くはありませんが、彼の親と同居して生活費を抑えています。

   女性にとっての結婚は「生まれ変わり」であると述べたのは、社会学者の山田昌弘氏(『結婚の社会学』、1996、丸善ライブラリー)。多くの女性にとって、結婚とは新しい人生を切り開くチャンスだと考えられているのです。ただ、「上昇婚」を果たして「生まれ変わりたい」と願うあまり、高度な条件を求めて結婚できない女性も増えています。

   ウェブデザイナーという仕事の特性を活かし、「相手は全国区」「親との同居も可」「年収にはこだわらない」と、大幅に条件をゆるめて結婚した明子さん。妥協しつつも、「自分の仕事を理解してくれる相手」という条件だけは譲らなかったので、とても満足そうです。彼女を見ていると、「本気で結婚したい人は、どんな手段を使っても結婚していくのだなぁ」と思うのでした。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
【Facebookページ】北条かや
姉妹サイト