800キロ離れた相手と結婚して「生まれ変わる」
専業主婦になりたいとは思わない。ただ、自分の仕事を理解し、一緒に助け合える相手を求めた明子さん。婚活サイトを通して出会い、メール交換で「相性が合うな」と感じたのは、なんと800キロも離れた岐阜県の会社員男性でした。
「岐阜県か…遠いなぁ」と思ったものの、観光も兼ねて一度、出掛けてみた明子さん。そこで彼と対面し、2~3回のデートを重ねて結婚に至ったのでした。親や友人もびっくりの「越境・ノマド婚活」でしたが、「とにかく自分を理解してくれる相手と結婚する」ために、相手がどこに住んでいようが関係ないと腹をくくったのですね。ウェブデザインの仕事は、クラウドソーシングで受注することにしました。明子さんの月収は10万円未満で、彼の収入も多くはありませんが、彼の親と同居して生活費を抑えています。
女性にとっての結婚は「生まれ変わり」であると述べたのは、社会学者の山田昌弘氏(『結婚の社会学』、1996、丸善ライブラリー)。多くの女性にとって、結婚とは新しい人生を切り開くチャンスだと考えられているのです。ただ、「上昇婚」を果たして「生まれ変わりたい」と願うあまり、高度な条件を求めて結婚できない女性も増えています。
ウェブデザイナーという仕事の特性を活かし、「相手は全国区」「親との同居も可」「年収にはこだわらない」と、大幅に条件をゆるめて結婚した明子さん。妥協しつつも、「自分の仕事を理解してくれる相手」という条件だけは譲らなかったので、とても満足そうです。彼女を見ていると、「本気で結婚したい人は、どんな手段を使っても結婚していくのだなぁ」と思うのでした。(北条かや)