「低年収でウン千万円の家を買う」もアリ 財政破綻見込んで「賭け」に出る

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   少し前の話だが、このような広告チラシがネットで紹介され、話題になったことがあった

「夫28歳、年収215万、妻27歳年収140万
世帯年収355万円でマンション買っちゃいました!」

   世帯年収355万円で、長期ローンを組んで家を買うなど、フィナンシャル的にはありえないと思っていた。長期の住宅ローンは極端に人生の選択肢を狭めるし、低年収の人となれば、破綻のリスクも増大する。とてもじゃないがおすすめできないが、最近、これも有りじゃないかと考えを改めた。

国債のデフォルトとハイパーインフレ

この家、高そうだけど、買っちゃう?
この家、高そうだけど、買っちゃう?

   もろもろの費用などを考えず単純に計算してみよう。たとえば、年収355万円で、4000万円の家を買ったとしよう。35年のローンを組んで、最初の10年は固定金利で1%で借りることができたとしよう。これだと、当初の返済額は、約11万3000円だ。世帯年収355万円の家庭にとっては非常に荷が重い。

   しかし、利子だけ返したらどうだろうか。利子だけなら、3万3000円。家賃より安い。

   おいおい、それじゃ永遠に借金が減らないじゃないかというツッコミがあるとおもう。そのとおりで、利子だけの返済なら永遠に借金はなくならないが、ある方法がある。そう、日本の財政破綻に賭けるという方法だ。

   財政破綻とは、国債のデフォルトとハイパーインフレを意味する。もしこれが、10年以内のあいだに起きて、ハイパーインフレがおき、円の価値が1/100くらいになったとする。そうすれは、4000万円の借金も、実質40万円になる。

   これは、金融工学的には、財政破綻に賭けるオプションだといえる。毎月の3万3000円は、オプションプレミアムだと言い換えることもできる。

   賭けにかてば、まんまと家は手に入るが、賭けに負けたら4000万円の元本が残るが、これは自己破産して帳消しにしてしまえば良い。いずれにしても返済できないのだから。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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