実験中に注意され「チッ」っと舌打ち そんなリケジョはかわいい方

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   某ロボットアニメの有名なセリフ「2度もぶった。親父にもぶたれたことないのに」――なんて言葉を学生から吐かれたら、私はクビかもしれないな……。

   最近の学校において体罰は完全にアウトである。もっとも、最近に限らず、体罰はもともとアウトである。「廊下に立たせる」行為なんて、教育を受ける権利を奪うので、既に1949年に法務府(現在の法務省)より懲戒権の濫用であるという通達がなされている。ただし、「教室内の秩序維持のため」とか「他の生徒の学習の妨げになる」などの場合に、教室から退去させることは指導の範囲内だそうである。補習など、その後のフォローが必要だけれども。

今時の学生は体罰やそれっぽいものも、ほぼ経験していない

親父にもぶたれたことない…
親父にもぶたれたことない…

   まあ、細かい事は皆さんに独学して頂くとして、とにかくちょっと前までテレビで見かけた「のびー、廊下に立っとれー」は、原則ダメだと言う事。でも、今考えると我々が「生徒」であった時代は、厳密な定義に当てはめると「体罰だよな~」という事例がまま見受けられるというか、普通であった気がする。

   長時間の正座、ゲンコツなどは「日常」であった。妻も、JK時代の数学教師からの「目から火が飛び出るようなゲンコツ」が忘れられないと言ってるし。私は子供の頃、極めて鼻血が出やすい体質であった。小学生の時、担任の鼻ピンで鼻血が出て私より担任がビビっていたのは、保護者や教育委員会の面々の顔が思い浮かんだからかもしれない……

   昔話はさておき、今時の学生は体罰やそれっぽいものも、ほぼ経験していない(ただし、体育会系部活出身者を除く。いや、別に体罰があったという意味じゃないですよ、厳しく指導されていたという意味です…)。体罰自体許されないので、この事自体は良い事かと思う。

「2度も叱った。親父にも叱られたことないのに」

   ただ、最近、学生を指導していて「家庭でも学校でも叱られた経験が少ないのでは?」という事を強く感じてしまう。大学生は大人(っぽい歳)であるので、「叱る」よりも、論理立てて指導することが多いが、やはり、実験中に危険な行為を行ったとか、他人を怪我させかねない状況を作った場合など、若干語気を強めて叱ることもある。

「何やってんだ!危ないじゃないか!! だから、実験にハイヒールなんて履いてくるなって言っただろう。すぐに踵のないズックに履き替えてこい!!」

   ここで「チッ」って舌打ちして履き替えに行ったり、「何がいけないんですか~」と文句を言ってきたりするリケジョはまだマシである。困るのは、涙を浮かべて、実験室より逃走するタイプだ。そのまま実家まで逃走、大学からフェードアウト、なんてことにもなりかねない(そうなる前に対処するけどね)。

   いかなる場合でも、

「大丈夫ですか?危険ですから実験にはハイヒールではなく、底のない靴をお勧めしますよ。それにスカートよりもズボ…いやパンツの方が良いと思いますよ」

と優しく指導しないといけないのかしらん……

   「2度も叱った。親父にも叱られたことないのに」――なんて言葉が聞こえてきそうである。(プロフェッサーXYZ)

プロフェッサーXYZ(えっくすわいじぃー)

国立大学を卒業し大学院修了後、助手として勤務。現在は東日本の私立大学の教授であり、フラスコを持ったリケジョの研究指導をしたり、シュレディンガー方程式に頭を悩ませる男子学生の教育を行ったりしている。受験戦争世代と言われた時代から、バブル世代、ゆとり世代、そして、ゆとりは終わった?という現代まで様々な教育・研究現場を肌で体験している。大学教育のみならず初等~高等教育の現場とかかわりを持ち、日々「良い教育は?」の答えを模索し続けている。ちなみにカクテル好きというわけではない、下戸である。また、「猫」も飼っていない。
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