私はふだん、外国(ベトナム)に住んでいるので、たまに日本にくると外国人訪問客のような気分になる。2020年のオリンピック開催にむけて、外国人むけの取り組みをしている東京であるが、wifiの整備などの話よりも、問題に感じていることがある。いつも日本に帰ると、悩まされる問題だ。
それは、東京でしばらく過ごすと、服がタバコ臭くなるということだ。
シャツが臭くなり、吸い殻入れのような匂いに
要するに、分煙ができてない。都内の飲食店などに入って、小一時間過ごそうものなら、シャツが臭くなり、吸い殻入れのような匂いになってしまう。髪の毛も吸い殻臭くなり、どうしようもない。
日本に住んでいるときはあまり気づかなかったが、日本はタバコ臭い国という印象が私のなかで、できつつある。海外をいろいろ歩いてみると、日本より喫煙率の高い低開発国ですら、シャツがこんなに臭くなることは殆どなかった。しかし、日本だけは、とにかくタバコ臭くてしかたない。
どうして東京の飲食店はタバコ臭いのか、これには2つの理由がある。
まずは、そもそも禁煙でない飲食店が多すぎる。禁煙なのは一部のコーヒーショップや、牛丼やカレーなどのファストフード、高級レストランくらいであって、殆どの場合は、喫煙可能だ。
多くの先進国では、一律に室内では喫煙できないようになっているが、日本では進んでいない。オフィスビル内では禁煙になったが、こと飲食店ではまだまだだ。
街の食堂、ラーメン屋、中華料理屋、どこに入ってもタバコ臭いので、仕方なく、日本滞在時は、牛丼屋や、カレーなどのファストフード店に入ることが多くなってしまっている。
「wifiない」よりはるかに致命的なダメージ
そして、次の問題が大きい。
ベトナムでは、禁煙や分煙の飲食店などみたことないが、窓は開けっ放しで天井も4メートルくらいあるような場所なので、ほとんど屋外である。隣でタバコをすっている人もみかけるが、タバコの臭いは気にならない。空気が還流していて、急速にタバコの煙を薄めているからだ。
日本の建物は、高度に密閉されている素晴らしい建築物であるが、それがアダとなって、たちまち匂いがこもってしまう。
たとえその飲食店のなかで1人しかタバコを吸っていなくても、その1人のタバコの臭いが店中に充満してしまうのだ。
これは、分煙の店の酷さを知っていると身にしみる。先日、分煙と書いてあるファミレスに入ったが、とくに仕切りがされているわけでもないので、タバコの臭いがそのままやってくる。禁煙席にいるのに、食事をおえてみれば、シャツが臭くなってしまっていた。
分煙の喫茶店の場合は、ガラス戸で仕切られているにもかかわらず、開閉時に匂いが立ち込める。人の出入りも多いため、1、2分に一度くらいは開閉があるので、それだけでもう匂いが充満してしまう。
日本の飲食店はタバコ臭い。
これはwifiがないとかそういうことよりもはるかに致命的なダメージだろう。
タバコに対する寛容な姿勢は、オリンピックのイメージとも全く合わない。
2020年までまだしばらくあるので、早急に、公共の室内ではビル・飲食店問わずに完全禁煙とする条例を作るべきだ。(大石哲之)