食べ物のリスクを「客」に押し付けるな 「中国製・期限切れ鶏肉」問題で問われる会社の基本姿勢

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コスト削減とリスクはトレードオフの関係

   気がつけば年末商戦を前に、クリスマス・ディナー予約は前年の3分の1近くにまで落ち込んでいました。リーマンショックの影響だけでは到底説明できない状況です。「質が落ちた」という噂はすぐに広まるものです。「特別な日」のおもてなしニーズが、噂の広まりで他店に取られてしまっていたのは想像に難くないところです。

   T常務は、ほどなく自ら会社を去りました。K社は5店舗あった店を2店舗に減らし、食材の質を戻すことで時間をかけて信用力の回復に努めることで外食事業を継続しています。

「マクドナルドさんの一件を耳にした時、T元常務の考え方と同じなのかなと思いました。大手になればなるほど、目先のコスト競争や生き残り策に必死になって、いつしかお客様は遠い存在になってしまうのかなと。うちは小さなサイズに戻すことで、お客様第一の原点回帰を合言葉に出直ししました。お客様商売、特に飲食業はお客様にリスクを押し付けるようなやり方は絶対にしてはいけないと、改めて実感させられます」

   コスト削減とリスク発生はトレードオフの関係にあり、そのリスク発生が顧客に向くようなコスト削減はしてはならないのだという規模拡大時に忘れられがちなビジネスの基本を、再確認させられる一件でありました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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