「女性だらけの職場は人間関係ドロドロ」のホントのところ

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   「女性はすぐ他人の悪口を言う」とか、「女性が多い職場は人間関係がややこしい」などと思ったことはありませんか。それに比べて「男性同士の人間関係はサッパリしている」、「ケンカしても後腐れがなさそう」と言う人もいますね。こうしたイメージは一体どこから出てきたのでしょう。

格付けしあう「マウンティング女子」たち

女性が多い職場では…
女性が多い職場では…
A子:「この前、また営業部の先輩から『合コンセッティングしてくれ』って言われてさ~(本音:私は他部署の男性と親しくて人脈も広いのよ!羨ましいでしょ!)」、B美:「え~羨ましい。私、そんなの全然言われないよ~!彼氏がうるさいから遊べないし~(本音:合コンのセッティングって単に都合よく使われてるだけじゃん。私には本命の彼氏がいるから、あなたより上よ!)」

   女性同士の会話では、このような「本音と建前の使い分け」がなされることがあります。無意識のうちに「私の方が上よ!」とほのめかし、格付けしあう女性たち。最近、こうした「女子の人間関係」を分析した本や作品がブームです。昨年(2013年)は『格付けしあう女たち―「女子カースト」の実態』(白河桃子著、ポプラ社)が話題になりましたし、今年に入ってからは『女は笑顔で殴りあう─マウンティング女子の実態』(瀧波ユカリ・犬山紙子著、筑摩書房)や、精神科医の水島広子氏による『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)もよく売れています。4月から放送されたフジテレビのドラマ「ファースト・クラス」でも、ファッション誌の編集部を舞台に「マウンティング=女同士の格付け地獄」が描かれ、女性を中心に「あるある!」と共感を集めました。とにかく「女同士の人間関係って面倒!その理由を知りたい、語りたい!」というムードが高まっているようです。

「男子はサッパリVS女子はドロドロ」の理由

   ドラマ「ファースト・クラス」が良い例ですが、女性同士のトラブルは「泥沼」「格付け」「ドロドロ」などと表現されることが多いようです。一方、男性同士のトラブルは「競争」「下克上」などのイメージで語られることが多いようですね(ドラマ「半沢直樹」が分かりやすい例でしょうか)。そういえば幼い頃から、「女子はグループに分かれて、裏でネチネチ悪口を言う」「男子は殴り合いのケンカもするけど、終わったら後腐れがない」という話は、耳にタコができるほど聞かされてきました。社会に出ても、この図式を信じている人は結構いるようです。

   しかし、「女子の人間関係=ドロドロ」という図式は、そもそも「女性が集まっている場では、女同士、和気あいあいと仲良くしなければならない」という前提があるために出てくるのではないでしょうか。「和気あいあい」の規範があればこそ、少しでもその「和」が乱れると「あ!女子がまたドロドロしてる!」と言われるわけです。

   また、多くの会社では未だに、女性が上を目指す環境が整っていません。キャリアアップ意識のない女子が集まる職場では、仕事での競争意識が生まれず、「和気あいあいルール」が支配することになります。横並びの集団は、細かな違いをあげつらう「マウンティング地獄」と紙一重です。逆に、仕事が忙しくて全員の目標達成意識がハッキリしている職場では、ネチネチ悪口を言い合っているヒマはないでしょう。「そもそも女同士、仲良くすべき」という前提が、かえって「ドロドロの人間関係」を生むのだとすれば、それ以上の「競争原理」を職場に持ち込むことで、余計なトラブルはなくなるのではないでしょうか。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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