国立大で助手だった頃の話だが、研究室の学生から「XYZさん、アイス好きなんですか?」、「ん???…ま、まあ、普通に好きだけど…」、「いや、この前コンビニでバイトしてる友達が、アイス買ってるの見かけたって」…なるほどねぇ~、壁に耳あり障子に目あり、コンビニに防犯カメラありってね。よかった、よかった、18禁の雑誌を買ったんじゃなくって…、いや、当時は若かったし、独身だったし…
大学は卒業までに、どのぐらい学費がかかるのか
最近は「バイトであっても職業上知り得た他人のプライベートを、人に話すのは問題ありっ!」って指導しているから、こんな噂話も耳に入ってこないが、大学生ともなれば御近所で普通にアルバイトをしている。大学そばのコンビニで「あっ、先生おはようございます!!」、「お、おはよう、ここでバイトしてるんだ」、「あ、そうです~。先生、おにぎり温めますか?」「…いや、おにぎりは温めないだろう」、「そうですよね~」と会話をするなんて、めずらしくもなんともない。私は下戸なので関係ないが、同僚の先生方が大学そばの居酒屋を避けて、遠い居酒屋に行きたがるのも当然か。
ところで、大学って卒業までにどのぐらいの学費(諸経費を含む)がかかるのだろう。医歯系は別格であるが、それ以外の私立理系で500万円~600万円ぐらいだろう。国立はおおよそこの半分ぐらい。国立は安そうにみえるけど、国立は一般に学力重視型の入試が多い。
つまり、中・高校生時代にペーパー試験対策をしっかり行う必要がある。ということで、学費の高い私立の中高一貫校でみっちり鍛えてもらうか年間100万円程度払って予備校に通ってと考えると、「東大に入るには親の年収が…」という話も、さもありなんという事で。その他、教科書代や場合によってはアパート代なんて考えると…保護者の方は青息吐息なのであろう。学生もアルバイトで携帯電話代を稼ぐのは当然か。殊勝な学生は、運転免許取得代、生活費の一部、学費の一部も稼いでいたりする。
バイトに精を出し過ぎて本業がおろそかになってしまう学生も
私自身、アルバイト自体は悪いこととは思っていない。「成績は良いが、アルバイトも部活も経験した事がなく、先輩後輩の立場の理解や社会常識が全く無い」という評価を受ける学生がいる。アルバイトを通した社会勉強というのも学生の特権かもしれない。私は、夏休みや春休みにアルバイトを経験することを推奨している。授業期間は受講時間以上の予習・復習をしないといけない、そのように規定されている。つまり、睡眠時間を削ってでも勉学に励んでいるはずである。よもや、自宅学習が週に6時間~7時間なんてことはあるまい……
たまに、アルバイトに精を出し過ぎて本業がおろそかになってしまう学生がいる。きまって、「親に申し訳ないと思ってます。払ってもらった学費は働いて返そうと思います」とか言う。「わたしが君の御両親だったら、お金返してもらうより、勉強に励んでくれた方がうれしいけどな」と言いたくなるが、まあ、ご両親の心の中までは分からないものだが。
昨夏、たまたま近所のスーパーマーケットで学生と御両親とお会いした。「あっ、先生、買い物ですか?、これ、うちの親っす」「あっ、先生様で、いつもうちの***が御世話になっております」「いえ、いえ、こちらこそ、ごにょ、ごにょ、ごにょ……」、今夏はスーパーで短パン、Tシャツ、ゾウリ姿に「半額シール」は控えるかなぁ。(プロフェッサーXYZ)