派手さはないものの、産業を下支えし、社会に貢献
もう1社は、東京都千代田区の秋葉原に本社を置く水谷電機工業。同社は1967年の設立で、電子機器や産業機械に使われている半導体を安定稼働させるための放熱器「ヒートシンク」の専業トップメーカーだ。1996年にはマレーシアに工場を設立。創業者である水谷和夫氏の子息の水谷典央氏がマレーシア工場の責任者として海外市場を開拓した後、帰国し、現在は和夫会長、典央社長の体制となっている。同社がいま、力を入れているのが、自動振動方式の産業用ヒートシンク「ヒートレーン」。大容量の熱移動が可能で、設置姿勢による制約も受けないことから、インバーター、サーボ、レーザーなどの産業機器の制御装置向けに新たな需要が見込まれる。従来のヒートパイプ方式に比べ、熱の伝わりにくさを示す熱抵抗値が30%~40%改善しており、日刊工業新聞が2012年7月5日付で掲載した。
このヒートレーンはこれまでマーケティングに時間をかけ、本格的な生産体制の構築を見送ってきたが、2014年春に静岡県の沼津工場で生産体制を構築、いよいよ本格的に営業展開するという。同社では、「レーザー装置のように発熱密度の高い製品の放熱に有利」としており、医療機器やロボットの技術革新を陰で支えるとみられる。水谷電機工業も高橋木箱製作所と同様、最終製品ではないため派手さはないものの、産業を下支えし、社会に貢献している。両社の記事は日刊工業新聞が掲載しているが、日刊工業新聞はこのような中小製造業に強みを持つメディアだ。(管野吉信)