「ブラックなら入らなければいい」
上記のリストのとおり、ブラック企業問題は当事者であるブラック企業のみならず、「労働環境が悪いまま、取り締まられずに放置されている」といった要因や、「ユーザーがお金に見合わない高いサービスレベルを要求することでブラック化してしまっている」といった要因も存在する。ぜひブラック企業を語るならば、そんな周辺要素にも注目しておきたいものである。
さて今回は「(3)受験者や従業員の問題」に着目したい。その中では「ブラックなら辞めればいい」という話題は以前コラムにしたので、今回は「ブラックなら入らなければいい」という切り口からお話していこう。
ここ数年、大学新卒生のうち民間企業への就職希望者は大体42万人程度で推移している。
これに対して、「就職人気企業ランキング」、「ホワイト企業ランキング」、「優良企業ランキング」などに名前を連ねる上位200社の平均的な採用総人数は約2万人程度と推定される。さらにこの枠に対し、東大・京大(0.6万人)、その他旧帝大(1.5万人)、早慶(1.8万人)、一橋・東工大・東京外語(0.5万人)の学生が殺到してくる。
すなわち、「2万人分のイスを4.4万人で争うイス取りゲーム」のようなものだ。すでに学歴という時点で、それ以外の38万人はスタート時点で差がついているといえる。この構造は、「従業員規模別の求人倍率」で見ても一目瞭然だ。「社員数5000人以上の大企業」の大卒求人倍率は0.55倍、すなわち100人の就活生に対して55人分の求人しかないが、「社員数300人未満の中小企業」だと4.52倍。100人に対し、452件もの求人が応募を待っている計算になる。