2014FIFAワールドカップ(W杯)はドイツの優勝で幕を閉じた。今大会はスタートからフィニッシュまで劇的な展開だった。グループリーグではスペインやイングランドなどの強豪国が軒並み敗退。決勝トーナメントに入ると、1回戦8試合のうち3試合が延長、2試合がPKにまでもつれ込む熱戦が続き、準々決勝では今大会のヒーローとなるはずだったブラジル代表ネイマール選手が負傷するというショッキングな事件も起きた。準決勝では地元での優勝が期待されていたブラジルがまさかの7失点で大敗、続く3位決定戦も勝利できなかった。
ざっくり振り返ってみれば、準決勝以降のブラジル、そして1勝もあげられずにグループリーグで敗退した日本代表は、失点からゲームを「立て直せなかった」。そして、敗戦から「気持ちを切り替えられなかった」といえるだろう。こうした「気持ちの切り替え」に悩むのは、サッカー選手に限ったことではない。
「スランプ」クローゼを救ったアドバイス
仕事でうまくいかない時、切り替えができずに失敗を繰り返してしまったり、ますます悪い方向に向かってしまったりした経験はないだろうか。一方で、失敗してもそれに毅然と対処し、きちんと立て直すことのできる同僚や先輩がいることに気づかされると、自分と何が違うのかと首をかしげたくなる。「デキる奴」はどうやって切り替えているのだろうか。
ニュースサイト「東洋経済ONLINE」では、ドイツ代表のFWクローゼ選手と、代表チームのメンタルトレーナーを務めるハンス・ディーター・ハーマン氏のエピソードを紹介している(2013年3月14日)。クローゼは10年ほど前、大衆紙のスキャンダル記事に悩まされ、それがプレーにも影響してスランプに陥ってしまった。ネガティブな思考からの「切り替え」ができなくなっていたのだ。そこでハーマン氏はクローゼに、どうしても頭から離れない思考は頭の中の一部分に一度「パーキング(駐車)」し、目の前のことに集中するようにとアドバイスしたという。悩んでいることは、試合の後で考えればいいと。クローゼはその教えを実践してスランプを克服した。