7月1日(2014年)から、政府による夏の「節電・省エネ集中実施月間」が始まった。今年は東日本大震災後、初の原発稼働ゼロの夏となり、厳しい電力需給が予想される。政府は、数値目標は設定せず、家庭や企業の自主的な節電を呼び掛けている。
先日は、ブレーカーに貼ると電気代が安くなる、とうたったシールを5万円ほどで売る悪徳商法の実態が報じられるなど、「節電」はいまや強迫観念のように私たちの生活に沁みついている。しかし、せっかくやるなら「効果のある対策を、無理せずにやっていきたい」と思うのだが……
仕事も進まないし省エネ効果も不明…
各企業は節電対策に頭を悩ませ工夫をこらしているようだが、うまくいっている例も、社員に反感を買う例もあるようだ。質問サイト「OKWave」にはこんな投稿があった。「8時に出社、13時から昼休みというバカな節電への取り組みをした会社」があるという。その結果はどうだったかといえば、「残業が増えただけ」。そして、ランチの時間がずれたことで馴染みの飲食店からも迷惑がられる始末。それを実行したことで電力消費がどれくらい減ったかという肝心なデータは、結局会社から公表されなかったそうだ。
質問者は節電に気を取られて仕事がそっちのけになる本末転倒のケースをあげ、会社での「バカな節電の事例」が他にもあるかどうか質問している(2014年6月23日)。
エアコンはこまめに消しても節電にならない?
この質問のベストアンサーでは、12~13時はオフィスのほとんどが節電中で、昼休みの時間をずらすという取り組みは、電力消費の集中を緩和するという意味では理に適っていると指摘している。節電効果はわからないが、電力供給の安定にはある程度の貢献があるのかもしれない。この例は一概に「バカな節電」とはいえないようだ。
その一方で、苦労の割に効果が薄かったり、仕事に支障が出てしまったりするおバカな節電、「バカ節電」というのも実際にあるようだ。
例えば、エアコンはこまめに消して稼働時間を少なくするように努めていないだろうか。暑くても我慢して団扇であおいでしのぎ、汗だくになって限界を感じたところでやっとオンにする、そしてある程度冷えたらまた消して……というパターンだ。電気機器メーカー、富士通ゼネラルのホームページ(「エアコンの上手な使い方」)によれば、エアコンは「運転を開始するときに、運転中より多くの電気を消費してしまう」らしい。つけたり消したりすると逆に電気を使ってしまうので、温度設定を高めにしたり、フィルターの掃除や室外機の周りを片づけるといった手入れをしたりすることの方に重きをおいた方が効果的だという。
今夏に限らず、そもそも地球環境の保護のために省エネルギーは大事だ。くれぐれも「バカ節電」にはまってしまわないように、無理をしない範囲で節電と向きあおう。(RH)