君は「半沢直樹」になってはならない! その前にやるべきコトがある

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会社から危険分子扱いされる可能性も

   それはなぜかと聞いてみると、このようなことでした。

「ああいう芯が通った社員がいたら心強いし、成果を出してくれるんだから頼もしい。
   だけど一歩間違えると劇薬にもなりかねず、下手すると組織の秩序が崩壊してしまう。
   半沢直樹のような社員の部下が『よし、俺も言うぞ』とか変な正義感を持たれても困る。
   半沢直樹を使いこなすには使う側のレベルが高くないと難しい」

   つまり、半沢直樹のような社員は現実的には両刃の剣ということです。

   雑誌等の経営者のインタビューで「出る杭は伸ばす」というような記事をたまに見ますが、それは最低限の一般常識を持っている、周囲への配慮ができるということができるという前提でしょう。単に尖っているだけの社員で周囲を困惑させる存在は伸ばされるどころか、杭を抜かれるか、地面に沈められるかどちらかになります。

   自分に実力があってよほど自信があるのであれば良いかもしれませんが、普通の人だったら半沢直樹のように振る舞うと、かなりのリスクがあると思います。

   正義は我にありという感じで悪い上司をやっつけても、その人が会社にいる限り、恨みを持たれるのでどこかで足を引っ張られることもあるかと思います。ドラマでは勧善懲悪は成立しますが、実社会では成立しないこともありますのでご注意ください。

   多くの日本の会社では上下関係は重んじられていますし、やりすぎると会社から危険分子扱いされる可能性があるからです。

   世の中には職場での人間関係で悩んでいる人か多く、ストレスから病気になってしまう人もいるくらいです。そういう人に対してのアドバイスで「理不尽な上司や周囲に気を遣いすぎるからストレスになるのだから、あまり気にするな」とか「できる人はAKY(あえて気を遣わないの略)!」というのを聞いたことがあります。

   確かに、それは一理あります。周りに気を遣いすぎて自分が振り回されると、ストレスもたまります。AKYはいちいち周りを気にしないということですが、そもそも空気が読めなければこういう芸当はできないでしょう。本当の意味でAKYができている人は少ないのではないでしょうか。

   空気を読むというのは、気遣いにもつながります。よほど実力があって会社から「君には辞めてもらっては困るんだよ」と言われるくらい成果を出しているのであれば多少気遣いができなかろうが許されるかもしれませんが、普通の人は職場で気遣いができないと「あいつは気が遣えない」というレッテルを貼られてしまう可能性もあります。

野崎大輔(のざき・だいすけ)

大学卒業後に無職、離職を繰り返し社労士として独立し、企業の労使トラブルの解決に奔走する。2013 年7 月に自律型人材育成専門コンサルティングを行うデストロイ・ジャパン株式会社の創業メンバーに加わり、専務取締役に就任。社員が自発的に行動する組織作りに注力している。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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