どちらにとってもブラックに
この、前者と後者のタイプの職種と人をまぜて、単純に労働時間でブラックと論じていることが多いのが現状だ。
しかし、本当の問題は、終身雇用大企業だと、これが意図的にあいまいになっているということだ。たしかに新卒の入社は全員幹部候補として入社する総合職なわけだ。若い社員には出世目指してバリバリしたいひともいるし、最初っから寄生するつもりのひともいる。これをすべて、同じ制度と処遇でやらざるを得ないのが、現在の問題点で、一律に残業するとか、一律に残業しないとかやっている。これでは、さきほど説明した2つのタイプのひと、どちらにとってもブラックになってしまいかねない。
すくなくとも、ブラック解消に向けた議論の最初は、終身雇用にちかいが、単純労働で、賃金は上昇せず、「時給」ではかられる社員と、解雇の対象となり、残業代も支給されないが、出世の対象になる社員を明確に分けて採用し、目に見えるラベルをつけることだ。そういうのは日本では冷酷なので、わざと曖昧にしているのかもしれないが、そういう曖昧さからブラックが生まれているということは疑いようもない。(大石哲之)