「2種類のブラック企業」、わけて考えよう

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どちらにとってもブラックに

   この、前者と後者のタイプの職種と人をまぜて、単純に労働時間でブラックと論じていることが多いのが現状だ。

   しかし、本当の問題は、終身雇用大企業だと、これが意図的にあいまいになっているということだ。たしかに新卒の入社は全員幹部候補として入社する総合職なわけだ。若い社員には出世目指してバリバリしたいひともいるし、最初っから寄生するつもりのひともいる。これをすべて、同じ制度と処遇でやらざるを得ないのが、現在の問題点で、一律に残業するとか、一律に残業しないとかやっている。これでは、さきほど説明した2つのタイプのひと、どちらにとってもブラックになってしまいかねない。

   すくなくとも、ブラック解消に向けた議論の最初は、終身雇用にちかいが、単純労働で、賃金は上昇せず、「時給」ではかられる社員と、解雇の対象となり、残業代も支給されないが、出世の対象になる社員を明確に分けて採用し、目に見えるラベルをつけることだ。そういうのは日本では冷酷なので、わざと曖昧にしているのかもしれないが、そういう曖昧さからブラックが生まれているということは疑いようもない。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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