「数字さえ上がればいい」ではなく
社長がまとめたG社のミッションは、「建物の設計、建設という仕事を通じて、自社も地域の人たちの生活も、すべて明るく楽しいものにしていく」というものでした。社長は全員を集めた会議で、このミッションに込められた創業の精神や自身の思いを伝え、「日々仕事をする中で自己の判断基準として、このミッションに沿っているか否かを常に置いて欲しい」と話をしました。
社長のミッションに込めた並々ならぬ思いと、現場への浸透の投げかけに対して、「これから建築と営業で議論になった際には、常にこのミッションに照らしてどのように対処すべきかを考え結論を出すようにしよう」と建築部長と営業部長がその場で話し合い、具体的な取り組みをはじめることにもなりました。
同じ目標数字を追いかけるにしても、ミッションのある会社は「数字さえ上がればいい」ではなく、いかに企業として満足度の高いやり方で数字を上げていくかを意識します。しかし、ミッション意識不在の経営では、数字ばかりを追いかけることになってしまい、最悪のケースではブラックと言われる状況にもなりかねないのです。経営者は常にミッションを意識し、それを社員と共有する必要があるのです。
その後G社のビジョン会議は、自社ミッションをベースとして様々な議論がすすみ、これまで数字ばかりだった経営目標を改めるべく中期ビジョンと中期経営計画の策定に入ったと聞いています。(大関暁夫)