「クラウドソーシング」が招く「格安」の大波 仕事で生き残る「2つの方法」とは

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「格安で質のいい作品」を入手可能。ということは…

   クラウドソーシングのいいところは、このように格安にものすごく多くの人のコンペを行い質のいい作品を手に入れたり、格安で仕事をしてもらったりすることができることです。ただ、毎回毎回発注するのは、発注にかかる時間のコストがかかるため、継続した仕事には向いていません。私の場合、サムライカレーのWebページのバナー作りなどは、知り合いのデザイナーの人に継続的にお願いしています。

   このような仕組みを使っていて思うのは、これから仕事をする側の人は大変だなということです。

   例えば3万円のコンペに勝ち残っても、日本ではお小遣い程度にしかなりません。しかし、ベトナムやカンボジアでは1か月分の給料です。このトーナメントでベトナム人が勝ち残っていたら、そのベトナム人はあとは1か月遊んでいてもOKです。ベトナム人の優秀なデザイナーにとっては、こんな素晴らしい仕組みはないと思うのですが、日本のデザイナーにとっては恐ろしい悪魔の仕組みでしょう。

   そんな世界で生き残っていくためにやるべき事はなにかと考えると、ひとつは日本語の壁の中で生きていくこと。日本語のロゴを作れる外国人デザイナーはまだ少ないですから、あまり途上国のデザイナーとは競合になりません。ただ、日本国内にも子育て中の主婦や、生活費の安い地方在住者、定年退職したあとの人など、競合はたくさんおり、安泰とは言えません。高確率でトーナメントに勝ち残れるだけのデザイン力を身につけたり、最新の技術や自身のブランドを身につけたりして競合がいないところで仕事ができるようにスキルアップしていく必要がでてくるのです。

   もう一つの方法は、彼らを使ってビジネスをする立場になることです。

   個人事業やスモールビジネス立ち上げをする人にとっては、こんな便利な仕組みはありません。また、自分で事業を立ち上げなくても、例えば提案型の営業をしている人は、お客様訪問や提案の骨子は自分で行い、パワーポイントの資料作りは勝手にクラウドソーシングで外注してしまうなんてこともできます(守秘義務に注意しなくてはなりませんが)。

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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