1年間の育休を突然Web申請 その時上司が心に誓った「彼女の復帰後の処遇」

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   先週に引き続き、筆者が複数名の大手企業の管理職者に聞いた「思わず減点評価したくなる、部下の休暇の取り方」とは何か?

   (1)オフシーズン、あるいは繁忙期の海外旅行、(2)慶弔休暇と有休を繋げるなど、複数の休暇を連続で取得することが、上司にもっとも嫌われるとは先週お伝えした通りだ。

   だが、「嫌われる休み方」はこれだけではない。以下、査定や評価を下げられたくなかったら絶対にやってはいけない休み方のタブーをお伝えする。

上司も人の子であり、感情に左右される

ベッドから落ちまして…
ベッドから落ちまして…

(3)Web申請

   最近の大手企業ならたいがい、あらゆる休暇の申請が、イントラネットなど社内Web上で行える。

   直接には言いにくい休暇の申請でも、スムースに出来ると、中々に好評なシステムだ。

   だが、これを嫌う上司は多い。たとえば、こんな意見。

   ある大手メーカーの管理職が言う。

「1日、2日の有給申請ならいざ知らず、およそ1年に及ぶ『育児休業』をWebで申請してきた部下がいたのにはあ然としました。
   部下がWeb上で休暇の申請をすると、上司にはあなたの部下からこんな申請がきましたといったメールが入るんです。それで、パスワードを入れて、Webにアクセスし、許可ボタンを押す。このときも、メールが入ったので、何だ何だと開いたら、『〇〇△子、2014年4月1日から2015年3月31日まで産休・育休の申請が来ています』とあり、驚きました。すぐ様、『許可しますか?』とのポップアップが出てくるのですが、正直『はぁ~?』と首をかしげてしまい、心を落ち着けるまで2~3日、放置するしかありませんでした」

と、かなりお冠だった様子だ。怒りが込み上げた理由については、

「だって、普通、社員が出産・育児で1年も休むということは、その間、彼女の仕事は誰に引き継ぐか、派遣社員を雇うべきかといった相談を上司とするものでしょう? その相談もしないで、一方的に許可せよとは。もちろん、許可するしかありませんが、その前に一言言ってよと思いますよね」

と説明。さらに、産休明け以降の処遇を示唆した。

「そういう人は、復帰しても、責任ある仕事は与えられないなと感じてしまいますよ」

   子どもの誕生日や結婚記念日などに取得できる「アニバーサリー休暇」制度なども、Web申請ができる会社が多いが、やはりWebの前に「一言」欲しいと語る上司は多い。

   あるサービス業大手の元管理職は言う。

「『子どもの誕生日当日にディズニーランドに行かせてやりたいんです』なんてで言ってくれれば、『だよね~』と共感し、気持ちよく送り出してあげることができます。
   それをいきなりWeb申請がくると、『アンタね~、この忙しい時期に…』と反発心を覚えてしまうんです」

   Web申請は確かに便利だ。でも、上司も人の子であり、感情に左右されるのはいたしかたない。

   その感情で評価を下げられたくなかったら、やはり、根回しが欠かせないようだ。

一年で一番、働きぶりを観察されているのは10月~12月

(4)10月~12月

「10月から12月の間に休むと、評価・査定が下がる可能性がある」

と漏らすのは、多数の日本企業の評価作りに携わる人事コンサルタント氏だ。そのココロとは?

「異動って大体、どの会社も3月ですよね? で、大概の人は、1~2月にその決定がされると思い、1~2月にやたら仕事を張り切るんです。
   でも、最近は異動の決定が前倒しになる傾向で、一年で一番、働きぶりを観察されているのは10月~12月の間なんです。
   ですから、この重要な時期だけは、会社の定休以外は極力休まず、いい仕事を集中的にしたほうがいい」

   秋の行楽シーズンだと浮かれている場合ではなさそうだ。


(5)ちょっとの用事で丸一日

   最近はイクメンの増加により、男性社員でも地域がやってくれる子どもの健康診断や授業参観などで、有休を申請する人が多い。大変にいいことだ。

   だが、厳密な上司の中には、「丸一日休むことか」と思う人もいるようだ。

   ある大手金融機関の管理職氏が言う。

「私も子どもを病院に連れて行ったり、平日の授業参観に出たこともありますから良く分かるのですが、あれって別に一日仕事じゃないですよね? 半日やそこらで終わります。だったら、あえて有休は申請せずに、遅刻届を出すなり早退するなりして、一度会社に来いよと思ってしまう。私がそうしていただけに、なぜ、あなたにはそれが出来ないんだと感じてしまうんです」

遅刻理由に「ベッドから落ちて意識不明になった」

(6)あからさまなウソ

   最後は、論外だが、あからさまなウソを言って休むのは、やはり絶対にNGなようだ。理由は、「表面的には信じたフリをしても、絶対にウソだとばれているから」。

   前出金融機関管理職氏が言う。

「昨日の晩に、取引先と飲んできますと言って元気そうに出て行った部下が今朝になって『子どもが熱を出しまして病院に連れていきます』とか言い出す。ウソだろお前、ただの二日酔いだろってのがバレバレで、だったら、ウソを言わずに『二日酔いですから遅刻します』と言って欲しい。正直に言ってくれればこっちだって人間ですから『だったらお前、たまには一日休めよ』くらい言ってあげますよ」

   過去にズル休むを重ねた猛者ともなると「ベッドから落ちて意識不明になった」だとか「食べ物をのどにつまらせた」「牡蠣にあたった」といった手の込んだウソをつくと言うが、「どれも嘘だとばれている」と言う。

   休暇の取り方に、変化球は無用のようだ。(佐藤留美)

佐藤 留美(さとう・るみ)
ライター。企画編集事務所「ブックシェルフ」(2005年設立)代表。1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、現職。著書に、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)、『なぜ、勉強しても出世できないのか?』(ソフトバンク新書)、『結婚難民』(小学館101新書)などがある。
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