社内が「縦割り行政」になる原因 それは会社の「ビジョンの欠如」だ

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「組織自己保存の法則」が働く

   一方の建築部隊は、

「変更変更で、こちらのスケジュールが押して他の仕事にも支障が出る。少しは現場のことを考えて欲しい」
「すぐに『顧客の要望だから』で無理難題を押しつけておいて、ミスが出ると建築がお詫びしろ。これでは我々が気持ちよく働けない」
「営業は建築の勉強をしようとしない。勉強してできることは手伝うという姿勢が欲しい」

   出るは出るは、納得性の高いものから、子供のケンカじゃないかと思うような、言った言わないレベルのものまで、お互いの部署に対してかなり不平不満がたまっている様子がよく分かりました。

   どんなに小さな企業でも、関わり合う部署が複数存在するなら、「組織自己保存の法則」というものが働き、組織内の部分組織同士間に壁ができるのはやむを得ないことではあります。例えぶつかり合いがあっても、お互いの主義主張それぞれが基本的に会社の向かう方向と言うものをベースにしているのなら、それは結果として大きな問題にはなりません。しかしそうでないと、「部分最適・全体不適合」ということになりかねないのです。G社の場合はまさにそんな状況を感じさせる、かなりの重症であると言わざるを得ませんでした。

   このようなケースで組織に不足しているものは、ビジョンであるケースがほとんどです。以前、当コーナーでビジョンの欠如が経営への求心力を失わせるという話をご紹介しましたが、ビジョンの欠如は組織の横の連携をも狂わせることになるのです。私はヒアリングの結果を受けて社長にビジョンの欠如あるいは共有の欠如の話をしたのですが、どうもピンと来ていない様子でした。そこで思いついたのが、件の役所仕事の件でした。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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