日本にない「失敗した人を讃える文化」 シリコンバレーとカンボジアで学んだコト

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   先日、シリコンバレー在住、元グローバル企業で管理職を務めていた方とお話しをする機会がありました。

   その中で、日本とシリコンバレーにあって、日本にないものは「失敗した人を讃える文化だ」とおっしゃっていたのが印象的でした。

「失敗は成功の母」という言葉が本気で信じられている

「サムライカレープロジェクト」で表彰されました
「サムライカレープロジェクト」で表彰されました

   シリコンバレーで働く事は、思っていたよりも理想的ではなく、熾烈な社内政治や、社畜的長時間労働など、日本の労働と同様の悪いところもたくさんあります。しかし、この{失敗した人を讃える}文化に関しては本当に素晴らしいということでした。

   今回の、サッカーワールドカップ日本代表への対応でもわかるように、多くの日本人、マスコミは失敗した人を叩くのが大好きです(スポーツに関しては、アメリカ・特にニューヨークやボストンも同じですが)。

   特に高い目標を掲げて、リーダーシップをとった人が失敗すると、そら見たことかと「ビッグマウス失脚!」などと叩くのです。

   しかし、シリコンバレーでは「失敗は成功の母」という言葉が本気で信じられており、起業をして失敗をしても、いくらでもやり直しが利く文化があるのだそうです。

   日本ではビジネス界でも、起業して失敗した人が叩かれるのはよく見ます。それだけではなく、社内でも、ちょっと新しい事にチャレンジして失敗すると、全力で叩きに来ます。

「リスク管理が甘い」「思慮が浅い」「だから無理だと言ったのに」

   若いうちにこういう体験をすると、新しい事にチャレンジする気がなくなります。道なき道を切り拓くのは楽しいですが、大変です。それに対して、外野から失敗した人を叩くのは楽しい上に、楽ちんです(下衆ですが)。

失敗を恐れずにチャレンジすることの大切さ

   ダークサイドに墜ちてしまった方が楽だし、出世をする機会も多いとあれば、優秀な人から順番に墜ちてくのはある意味あたりまえかもしれません。従って、大企業では、ひとつ新しい事をやろうとする度に、5人の部長の嫌らしい質問を回避して印鑑を集めるスタンプラリーが横行するわけです。そして、部長は口では「チャレンジしろ」と言いながら、新しい施策を持ってきた人の重箱の隅をつついて悦に入るのです。

   私は、こういう文化が大嫌いだったので、若い人たちにもっと自由に仕事をする楽しさを知ってもらうことを目的に、サムライカレープロジェクトという研修プログラムをつくりました。

   ここでは、新しい事をやろうとしたら、大方なんでも「承認」となります。

   そして、その施策が空振りして、店に赤字が出ても「ナイスチャレンジ!」と励まします。

   大切なのは、なぜ失敗したかを分析し、成功するためにどう改善するかを考え、再実行することだからです。

   新しいメニューが全然売れなくても、新しく買った屋台セットにお客さんが全然来てくれなくてもいいんです。なんで来ないか分析をして、次の手を打つことが出来れば。

   そもそも、サムライカレープロジェクト自身も、成功するかどうか全くわからないプロジェクトでした。こんなものに参加する人がいるのか、研修プログラムとして有益なのか、やってみるまで全くわからなかったのです。

   それが、開始6か月で多くの研修生に来てもらい、大変役に立ったという感想をいただき、まさかの国土交通省観光庁長官に表彰されるほどになりました。

   我々自身が、失敗を恐れずにチャレンジすることの大切さを身をもって体感しているのです。

   観光庁サイトでも、「第2回『今しかできない旅がある』若者旅行を応援する取組表彰 表彰式を行いました!」と紹介されました。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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