何をもって「ブラック」だと言っているのか
ブラック企業論議は多様な切り口から考えることが不可欠だ。いつも提言しているように、「ブラック企業」という言葉を使っている限り、本当の意味でのブラック企業問題は解決しない。なぜなら、先出の「いい会社」と同様、何をもって「ブラック」だと言っているのか、話し手の価値観によってまったく違うからだ。法令違反をしているという話なのか、給料など待遇が悪いのか、パワハラの横行など労働環境が劣悪なのか……
違法状態は無くさなくてはいけないが、「多少ハードワークでプレッシャーも厳しく、世間から『ブラック企業』とも呼ばれているが、自分はそんな環境で成長したいし稼ぎたい。だからブラック企業を選ぶ」という選択肢もあってよい。
その会社があなたにフィットしていて、長く勤められるようならそれでよし。
もし何かしらミスマッチがあって転職することがあったとしても、あなたのブラック企業勤務という経歴は転職市場において立派に機能することもあるだろう。
先日も、若手人材の採用を検討している会社の経営者がこう言っていた。
「ブラック出身?いいね~ ウチで活躍してるよ。ハードワークでパワハラ受けてて、給料安い人って、うちに来るとみんなハッピーになれるんだよ。なかなかいいよ!」
(新田龍)