「ブラック企業へ就職」のススメ こんなに「おいしい」ことが待っている

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「スキルをつけたい」「成長したい」といった希望に沿えるなら

   では、「社員にとっていい会社」はどうだろう。給与は高く、やりたい仕事ができ、ブランドがある大企業…。「人気企業ランキング」などの上位にランクインしている会社などが当てはまるかもしれないが、これもリスクがないわけではない。

   今の待遇がよければよいほど、会社倒産やリストラ、業績不振による給与カットなどの極限状況に陥ったときに、新たな状況に対応できにくくなってしまうものだ。実際、高収入でもお金がたまらない人は意外と多いものだが、いったん収入が増えてしまうと、それに合わせた生活スタイルに固定費が掛かってしまい、収入が減ってしまってもなかなか対応が難しくなるものである。

   また、大企業においては仕事が細分化する傾向がある。全体の一部業務を担うだけのキャリアであった場合、勤務中は特段ストレスもなく対応できるかもしれないが、会社に何かあって転職するときに「そのキャリアとスキルでは転職できません」と宣言されてしまうかもしれない。

   世の中には「人気企業」「優良企業」「働きやすい会社」など様々なランキングが存在するが、それも「何を基準に考えるか」によって、あなたにとっての価値や意味はまったく変わってきてしまう。

   「誰にとってもいい会社」は存在しない。あるのは「自分にとっていい会社」だけなのだ。 「何をもって『いい』と考えるのか?」というふうに、自分で自分の判断基準を分かっておくことが重要である。

   同じことは、「ブラック企業」にも当てはまる。

   世間では「ハードワーク」「低賃金」「プレッシャー」=ブラック企業、と捉えられる向きもあるようだが、それはいかにも短絡的すぎる。自分の価値観に合わない会社をブラック企業扱いしてしまっては、世の中全部の会社がブラックになってしまうではないか。

   確かに、プレッシャーが厳しいことが分かっていながら敢えて「キツい会社」を選ぶ人は少数派であろうが、彼らにとっては「価値観に合致した第一志望企業」なのだ。「スキルをつけたい」「成長したい」といった希望に沿えるなら、お互いハッピーではないか。

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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