「ブラック企業へ就職」のススメ こんなに「おいしい」ことが待っている

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誰にとって「いい」会社なのか

   基準は、人それぞれ異なるものだ、たとえば「優良企業」というキーワードで会社選びをするにしても、「何をもっていいと考えるか?」によって、切り口も様々だ。かなり大雑把に3点に絞れば、つぎのような捉えかたができるだろうか。

1:顧客にとっていい会社(リーズナブル、365日・24時間営業など)
2:株主にとっていい会社(儲かっている、継続的な成長など)
3:従業員にとっていい会社(やりたい仕事ができる、給料が高いなど)

   「顧客にとっていい会社」は、ユーザーとして利用する分には有難い存在だ。たとえば全国チェーンの某牛丼店であれば、牛丼並盛をわずか250円で食することができる。24時間365日営業しており、迅速に提供もしてくれる。

   しかし、従業員目線で考えれば、少ない人数で大量のオーダーをさばかねばならず、夜は強盗に襲われる危険性だってあるし、アルバイトから正社員への登用も狭き門…ということで、なかなか大変な環境かもしれない。

   「株主にとっていい会社」は、投資家や、税金を納めてくれる国や自治体、そこに我が子を入社させたい親にとってはいい会社だ。強みを持った商材で業績は好調であり、儲かっている。借金も少なくて当面はつぶれる心配もなく、世間からも「いい会社」と呼ばれることだろう。

   しかしこれも従業員目線で考えると、厳しい面があるかもしれない。同業他社に比べて儲かっている会社は、それだけ目標値や納期、クオリティなどの面で従業員への要求水準が厳しいことが多く、同じ時間働くにしても、その時間中の仕事の密度は明らかに濃いはずだ。1日の勤務を終えるとヘトヘトな毎日…ということも考えられる。入社の際には覚悟が必要だろう。

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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