「ブラック企業」というキーワードが広がりを見せた昨今、教育機関からの講演・登壇のご依頼が以前にも増して増加している実感がある。先般も某大学某学部で、3年生全員を対象とした正課キャリア講座に登壇する機会を得た。テーマは「ブラック企業と労働法」である。
同大学に限らず、近年の就職活動において、就職課やキャリアセンター職員の皆さんのアタマを悩ませているのは、就活生の「ブラック企業忌避」というスタンスだ。
噂話を信じ込む学生も
「飲食とかITって、業界全部がブラックなんでしょ?」
と決めつけ、噂されている業界自体にそもそも関心さえ持とうとしない学生がいる。
「『●●』とか『○○○○』はブラックだって、友達の彼氏の知り合いのAちゃんが言ってた!」
と、自分自身は働いたこともないのに、噂話を真に受けて信じ込んでしまう学生がいる。
「ネットで検索したら『株式会社○○ ブラック』って予測変換が出たから、ブラックなんだよね!?」
と、情弱な判断をしてしまう学生もいる。ちなみにこういった「関連キーワードで『ブラック』が出てくる問題」については、仕組み上「単にそういう組み合わせで検索している人が多い」というだけの理由であり、その会社が本当にブラックかどうかを判断する基準にはなり得ないものだ。
もちろん、就職先を決めるのは最終的には本人の価値観の問題であるから、「ブラックという噂があるだけでもイヤ!」という明確なポリシーをお持ちの方ならば致し方ないのだが、もしかしたらその噂は単なる噂でしかなく、ブラックと言われている会社はあなたにフィットしたところかもしれない。表面的な噂に惑わされて、そんな機会を見逃してしまうとすれば、本当にもったいないことである。