ソニー株主総会にみる「社長の緊張感」の重要性 非オーナーなら「1年1年が勝負」

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二年連続目標未達の責任をとらされた

   日本的オーナー経営の中小企業においては社長=大株主であるが故に、このようなコミットメント経営が必ずしも有効であるとは思えませんが、中小企業でもサラリーマン社長で業績低迷時であるならなおのこと、自分はコミットメント経営を強いられているという意識を持って周囲に対しても緊張感ある組織のかじ取りをする必要があるのです。

   私の知り合いで、こんなことがありました。

   リース会社の役員を務めたTさん。その退任後に取引先中堅製造業S社のオーナー社長から、自分の後任で社長をやってもらえないかという話をいただいたのでした。30代のご子息がもう少し企業経験を積まれるまでの間つなぎという意味合いと、リース会社時代の財務指導力に惚れこまれてリーマンショック後の不況下での難しい企業のかじ取りをお願されたということでした。

   私が本人からお話をうかがったのは、Tさんが社長就任直前のこと。「オーナーからはじっくり構えてつなぎをして欲しい、と言われているので、とりあえず5年から10年でバトンを渡せればと思っている。社長を任されるのは光栄の極み。企業人人生の総仕上げとしてじっくり腰を据えて『中継ぎ経営』に取り組みます」と話していました。

   ところがその2年後にTさんが突然社長を降りられたという話を聞き、びっくりさせられました。予定外に早くご子息へのバトンタッチがなされたのかと思いきや、後任はS社取引先上場企業の元役員であると言うので二度びっくりだったのです。すなわち、実質オーナーによる解任、社長交代劇であったと。Tさんの経営手腕に期待をかけた業績回復はかなわず、二年連続目標未達の責任をとらされたのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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