本当に強いのは、クインビーかバタフライか
男性並みの努力で成功しつつ、他の女性を「やる気がない」と叩くクインビー症候群。対照的に、女としてちやほやされたいだけのバタフライ症候群。どちらも「女である存在感を利用し、他の女性をおとしめている」ことに変わりはありません。「男女の枠組みに囚われず、普通に働きたい」女子にとっては、クインビーやバタフライたちが近くにいるだけで、心がかき乱されるものです。
名誉男性であるクインビーは、「男女関係なく、仕事ができてナンボ」という価値観に染まっています。自分は努力して「女の悪い部分を克服してきた」と考えているため、多くの女性をもともと、能力が低い存在とみなしているのです。
一方、バタフライたちも男性社員に取り入るため、「男が上、女が下」という価値観をあからさまに信じている点では同じ。男性と競争したって負けるのは当たり前、と思っているからこそ、蝶のように「か弱い存在」として守ってもらおうとするわけです。
自然界の女王蜂は多くの働き蜂を従え、するどい針を持っています。一方で蝶は、花と花の間をふわふわと舞い飛ぶばかりで、寿命も短い。水商売で働く女性を「夜の蝶」などと呼びますが、これも華やかなイメージだけでなく、女性の若さや美しさが儚いものであることも含んだ例えに思えます。
どうせならクインビーのように図太く生きてみたいものだと思いつつ、そんな覚悟もできないのでバタフライを目指すが、結局どちらにもなりきれずに日々悶々と過ごす……という女性も少なくないのかもしれません。もっとも、最近では、そうした極端な生き方にとらわれず、しなやかに我が道を行く女性も増えてきているようです。(北条かや)