意外(?)と成長に貪欲な若手社員 でも「雑用軽視」は困り物

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   長く経済の低迷で閉塞感を感じる話題ばかりでしたが、最近は成長を前提にした話題をよく耳にするようになりました。その打ち手として登場しているのが、カジノやプロ野球16球団化など。果たして、こうした打ち手が日本の成長に寄与するのか?注目していきたいものです。さて、そんな成長に関して、自分自身ではどれくらい意識していますか?長年、仕事をしているビジネスパーソンは

「仕事での成長感を意識できなくなっているかも」

と感じる人が大半かもしれません。ところが、若手社員は仕事で成長することに意欲的。

「この仕事をすると、どのような成長が得られるのか?」

雑用も厭(いと)わない
雑用も厭(いと)わない

   エン転職コンサルタントの調査によると、仕事を通じて自分自身を成長させたいと「強く感じている」人が75%。ところが40代になると半数を切ります。それだけ意欲的に仕事に取り組んでいる証かもしれません。最近の若手社員は草食的でやる気を感じない…との声も聞きますが、気持ち的には前向きであることがわかります。ただ、その意欲の強さからか、

「この仕事をすると、どのような成長が得られるのか?」

と成長志向を満足させるための質問をする人が増えました。こうした質問をする人は、以前は少なかったような気がします。このあたりが世代による価値観の違いかもしれません。イマドキの若手社員は、仕事はすべて自分の成長につなげたいとの合理的な思考をしており、こうした質問はそこから出てくるのでしょう。

   仕事にはそれなりに意味がある。ただ、ときにはこなさないといけないときもある。そんな仕事を手伝ってほしいと頼むと

「私にとってどういうメリットがあるのでしょうか?」

と意味を問うてくる。これは悩ましい状態。ときには

「みんな忙しそうにしているから、比較的手の空いている君に仕事のフォローをしてもらおう」

と考えただけかもしれない。ところが、そんな理由をそのまま伝えたらとんでもない返答が返ってくるときがあります。例えば、20代前半のDさんに会議の議事録を頼んだときの話。本来は担当すべき若手社員が風邪で休んだための代打だったのですが

「それは私のやるべき仕事ではないと思います」

と拒否してきたのです。急な依頼であることに加えて、自分にとってメリットを感じなかったのかもしれません(でも、拒否するなんてありえませんよね)。ただ、誰かがやらなければならない仕事なので、Dさんより先輩の若手社員にお鉢がまわることになってしまいました。その先輩は多少の文句を言いながらも

「仕方ないです。やります」

と仕事を受けてくれました。ただ、後日になって後輩が仕事を拒否していたことがわかって大騒ぎ。「先輩社員から依頼されて断るとは不届きな奴」と相当にお怒りモードで組織に不穏なムードが流れるほどの状態にまでなってしまいました。これは困りもの。

距離を近づけたうえで、「大人の道理」の説明を

   さて、若手社員は、しきりに「自分の将来のあるべき姿」とか「こういう道に進みたい」といった将来像を口にします。そして、将来像を実現するために組織や先輩社員は支援してくれると決めつけています。この価値観もミドル先輩社員とは大分ずれがあるのではないでしょうか。自分の将来は自分で切り開くもの。周囲は何か支援してくれるなんて甘い考え方は許されなかったはず。

   もちろん、組織の先輩社員は若手社員を指導・育成するものです。ただ、やって当たり前と捉えられると「ふざけるな」と感じてしまうもの。ここは、先輩社員が大人になって若手社員に対峙しなければなりません。まずは、将来に対する不安を言い続ける理由を聞いてみてはどうでしょうか?その際に先輩社員として過去を振り返って、自分も将来に対して不安を感じた体験があれば伝えてください。あくまで若手社員が共感できるような「自分も同じように不安を感じたことがあるよ、例えば…」と具体的なエピソードを紹介してみてはどうでしょうか。間違っても、武勇伝は御法度。さて、お互いが共感できた状態になってからが本題。お互いの距離を近づけたうえで、組織がどういうロジックで動いているものなのか、「大人の道理」を説明しましょう。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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