2014FIFAワールドカップ(W杯)、日本代表の初戦コートジボワール戦は、無念の敗戦となった。試合後、長谷部誠選手は「自分たちがやろうとしているサッカーが表現できなかった」と語り、ザッケローニ監督は自身の采配が勝利に結び付なかったことを悔いた。
しかし……日本の反省点以上に、コートジボワールがすごかったという印象が強烈に残ってはいないだろうか。いや、コートジボワールが、というよりも、エースのドログバ選手がすごかったと。
「凄すぎ オーラありすぎ」
ドログバ投入直後の「魔の2分間」。テレビで見ていて、場の空気が一変したと感じた人も多かったのでは?解説の元日本代表監督・岡田武史氏は、彼1人だけレベルが違う、ドログバが入って変わってしまったとリアルタイムでコメントした。
たった1人の選手がスタジアムのムードを変え、一瞬にしてチーム全体のメンタルを上げる。そんな魔法のような不思議な力を見せつけられた試合だった。
ドログバ選手に対するネットの反響も大きく、twitterのトレンドワードに「ドログバ」ではなく「ドログバさん」と敬称つきで上位にランキングしたことも話題となった。
質問サイト「yahoo知恵袋」にも試合開始後、ドログバ選手に関する質問が多く寄せられている。内容は「ドログバ凄すぎ オーラありすぎ」「ドログバ半端ないって!」など、彼の資質を称賛するものが大半で、回答には「エース」「ヒーロー」「カリスマ」「リーダー」などの言葉が目立つ。「ドログバは人間ですか?」の質問に「いえ。あれは神です」との回答も投稿された。
現代のリーダーシップは、「上から統率」型ではなく…
「現代のリーダーシップって?」。これは、W杯とは関係なくQ&Aサイト「OKWave」に以前投稿された質問だ(2014年1月6日)。質問者は、昔はリーダーといえば「上から統率する」イメージだったが、今は情報社会でそれぞれの分野で最先端の人がおり、自分より情報をもっている人に指示を出さなければいけない。個人主義の時代で各人に自己主張があるなかでどうやってリーダーシップをとればいいのか、と問うている。「個人主義」うんぬん、という問題は、世界のトップリーグで戦っている個性あふれるメンバーが、自国の代表チームに戻って戦いを繰り広げるW杯での状況と共通したものがないだろうか。
ベストアンサーは「秀でた部分を感嘆させればいい」との回答で、質問者自身も「ありたい姿を指し示す必要がある」と書き込んでいる。
ドログバ選手はフランス国籍も持っているが、政情不安を抱える祖国コートジボワール代表としてプレーすることを選択し、2006年には内戦状態にあった祖国を史上初のW杯出場に導いている。内戦終結にも一役買ったとされ、サッカー選手としての技術的な優位性だけでない、国民からのリスペクトを得ているのだ。これは「上から統率する」スタイルとは異なり、「秀でた部分を感嘆させる」形のリーダーシップなのかもしれない。職場に1人、尊敬できる「ドログバさん」がいてくれると、プロジェクトが円滑に動きそうな気がする。あなたの職場に「ドログバさん」はいるだろうか。(RH)