「保守本が盛況」を嗤(わら)う 「なんちゃって保守」の本質は左翼だ

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   最近、どこの書店に行っても、新刊コーナーの一角に必ず『保守』コーナーを目にするようになった。タイトルはいろいろだが、基本的に「日本はこんなにすごい!」「中韓はこんなにダメだ!」的な論調で一貫している。聞けばそれなりに部数は出るようで、出版不況が叫ばれる中、数少ない金脈に多くの出版社が群がっているように見える。


   一方、政治の世界では維新から分離した石原慎太郎氏が保守系新党を立ち上げ予定で、都知事選で60万票集めた田母神俊雄氏も合流を示唆している。ネタ枯れ気味のリベラルとは対照的に、保守方面ではいろいろな動きが活発化しているのは事実のようだ。かつて「学生運動やらない奴はモテない」と言われたように、これからの日本では「保守じゃないとカッコ悪い」という時代が来るのだろうか。

時代にそぐわないものは率先して改革し、進歩する気概を持つ


   恐らく、そうはならないだろう。というのも、今ちまたにあふれている『保守』の多くは保守でも何でもないまがい物であり、まがいものは外野でワーワー言っている分には許容されるけれども、日の当たる場所には決して出てくることが出来ないからだ。


   たまに勘違いしている人がいるが、保守とは古いものにしがみつくことではない。むしろ時代にそぐわないものは率先して改革し、進歩する気概を持ったグループだ。武士階級の一部が起こしてそのまま明治国家を作った明治維新がその典型だ。


   現在の日本は、戦後の高度成長期以降にできたいろいろなシステムが機能不全を起こした状態にある。国から地方へのバラマキ、公共事業依存、そして終身雇用制度etc……


   そうしたものに積極的に手を加え、改革しようとする姿勢こそ、正しい保守のあるべき姿であり、「農家や特定産業が困るから自由貿易反対」だの「公共事業で経済成長」だの言っているのは、保守の皮をかぶった利権屋に過ぎない。


   ただし、改革によって既得権をぶっ壊せば、確かに自由競争は実現するだろうが、能力の無い人は今より貧乏になる可能性もある。本来なら、そこは再分配で要求するべきだ。でも、日本の左翼と呼ばれる人たちはなぜか外交とかエネルギー政策ばっかり一生懸命で、実現味のある再分配政策を主張しているのを聞いたことがない。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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