日本に足りないのは「ポジティブな変革」 チームや組織が変わらないのは「他人のせい」?

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「Positive Energizer」を活用せよ!

ポジティブな組織変革のための6つの要件(Cameron教授の資料を基に筆者作成)
ポジティブな組織変革のための6つの要件(Cameron教授の資料を基に筆者作成)

   「Positive Leadership」の重要性を説き、Armyから企業、NPOまで多くの組織のコンサルティングを行っているCameron教授は、「ポジティブな組織改革」の要件として、「変革に向けて準備すること」「抵抗勢力を把握し巻き込むこと」「ポジティブなビジョンを共有すること」「コミットメントを促すこと」「変革を『組織化』すること」、そしてこうしたプロセスに「Positive Energizer(周囲に好影響を与える人)」を発見して巻き込んでEmpowerment(権限委譲)することを挙げています。

   言うは易し、行うは難し。「抵抗勢力を把握し巻き込むこと」「Positive Energizerを発見して活用すること」は日本の組織では特に難しいところでしょう。また、よく起きがちなのが「権限委譲」と称して「上司がやりたいことを部下に自由にやらせること」。正しくは「部下がやりたいことを上司が後押しすること」です。さらに、「ビジョン」はポジティブであるべきですが、Optimistic(楽観的)やOverconfidence(自信過剰)にならないよう注意が必要です。

   最近、ある日本人留学生が書いている記事(グローバル・イノベーション・ナビ2014年1月配信)を読んで衝撃を受けました。「成功しそうな人、出世しそうな人を見つけると引きずり降ろす」という傾向が「日本人全体に蔓延」している、大学生までそんな風に感じてしまうのか。いや、大学生だからこそ日米を比較して素直にそう感じ取ったのかも…。注目されている事象や人、人気の出そうな商品やサービスについて、ひどい場合は会ったことも体験したこともないのにネガティブにこき下ろす、確かにそうした風潮は日本のほうが強いかも知れません。

   しかし、日本の皆さんも気づき始めているのではないでしょうか。今こそポジティブさが求められていることを。ボヤくのは簡単ですが、ネガティブな感情を生み出すだけです。前述のCameron教授は「ポジティブな感情がネガティブな感情の3倍を上回ると平均で11年長生きする、30%多く稼ぐ」というデータまで示していました。個人がポジティブな意思を持って働き、組織にポジティブな変化をもたらし、社会が変わる、そんな好循環を生み出して行きたいと思います。本連載も次回が最終回!どうぞよろしくお願いします。(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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