「決断できない」経営者の末路 「利用されるだけ利用されておしまい」

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「決断せず」「様子見」は、前進ではなく停滞、あるいは後退

   こんな結論が先延ばしになりそうな場面では強引にでも事をすすめないと、結果はどうあれいつまでも結論に辿りつかず、ダラダラ無駄な時間ばかり使うことになるだろう、と私は思いました。そこで、我々はK社社長の訪問を断り、逆にK社に乗り込むことにしました。

「我々と一緒にビジネスをやる気があるのなら、3日以内に動き出しの期限を具体的に決めてください。その回答がいただけないなら、この話はなかったことにしましょう。我々はもうこれ以上待てないので、他社さんとやります」

   K社に乗り込んだのは、我々は待ち受け姿勢ではないというこちらの姿勢を態度で示すためです。K社社長はかなり面喰った表情でしたが、「分かりました」とだけ答えました。

   経営者の最も重要な仕事のひとつは「決断」です。「決断」せず、「様子見」を理由にして流れに身を委ねているのは前進ではなく停滞、あるいは後退です。「決断」結果が前進であれ撤退であれ、「決断」のないところに成果はあり得ないのです。そして最悪のケースでは、決断力がないと折衝相手に悟られるなら、それをいいことに利用されるだけ利用されておしまい、ということだってあるのです。

   3日後にT社社長宛に来たK社からの回答は「今調整をしているので、あと1週間回答を待ってくれ」でした。T社社長は、「これ以上は待てません」と回答したと私に報告がありました。本事業は当初予定よりも遠回りになるかもしれませんが、新米経営者のT社社長が経営者としての折衝のあり方を学べたと言う意味では、大いに価値があったと思っています。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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