大企業でも中堅・中小企業でも、メディアに取り上げてもらおうとすれば、「仕掛け」が重要になる。中でも、どこと組むか、誰と組むかは事業の成否を左右すると同時に、ニュースバリューを引き上げる要素ともなる。
今回は「仕掛け」に成功し、メディア掲載につなげている中小企業を紹介したい。
スポーツチームに「オフィシャル」を提供
「オーダースーツSADA」を全国で24店舗展開している佐田(東京都千代田区)は、Jリーグ10チーム、プロ野球のロッテ、ヤクルト、なでしこリーグのINAC神戸、NBLリーグの千葉ジェッツのオフィシャル・スーツサプライヤーとなっている。スポーツ選手の体型は肩幅、胸囲や太ももが発達し、既製服ではぴったりのスーツが見つからないケースが多い。このため、オーダースーツの提供はスポーツチームから歓迎されている。見返りも多い。オーダースーツの提供が決まると、各チームの広報がスポーツ新聞などに話題を提供してくれる。オフィシャルスーツを着用した有名選手の写真をホームページで紹介したり、営業用のポスターに利用したりできる。オフィシャルスーツは一般向けに販売しているので、売り上げ増につながる。オーダースーツの認知度向上にもつながる。2013年9月には、INAC神戸の川澄奈穂美選手(当時)プロデュースのメンズオーダースーツとネクタイを売り出すなど、女性目線でスーツの開発を行ったりもした。
これらの取り組み、たとえば川澄選手の件は当時、スポーツ新聞のほか、日刊工業新聞、日経MJ(流通新聞)が掲載した。ただ、これだけオフィシャルスーツ提供チームが増えると、新たなチームに提供しても広報の側面からは新鮮味が薄れてしまう。このため、同社ではオーダースーツの魅力そのものを訴求する仕掛けを検討中だ。