「MBAホルダーが使えない」のウソとホント 「MBAは取るに値しない」とは別問題

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あなたの組織にMBAは必要ですか?

   ひとつめの仮説は「その組織ではMBAが効果を発揮しにくい」です。

   あなたの組織にとってMBAの知識とそれを操る人材は必要ですか?例えば、業界自体がグローバル化していて業界再編が予想されるような場合には確実に役立つでしょう。一方、業種の特性上、あまりにもドメスティックだったりローカルだったりする場合は効力を発揮する機会が限られるのではないかと思います。

   卒業後、MBA生が活躍できるポジションはありますか?あるMBAホルダーが留学する前と同じ部門にいると聞き、さらにその仕事がMBAで得たスキルを使うとは思えないもので、がっかりした記憶があります。これでは辞めてしまう人がいるのも当然…。また、ミーティングで偉い人から順番に発言していって自分の意見を言う機会はほとんどない、意思決定者になるものも10年後、20年後というような「古風な日本的マネジメントスタイル」の組織風土でも能力発揮しにくいのではと推察します。

   「●年以内に辞めたら学費等を返還」という縛りで引き止めを図る組織が多いようですが、経営面から見れば「お金で縛る」だけではなく「リターンを最大化するための環境に投入する」というのが当然ではないでしょうか。経営者の「見栄」や幹部候補のための「福利厚生」でやっているとすればそれは自己満足です。

   二つめの仮説は「その人の資質が合っていなかった」です。

   組織内選考の「狭き門」、そして困難なMBA受験を突破してくる人たちなので、志の高く優秀であると信じたいところです。が、結果として日本の組織風土にどっぷり漬かってキャリアを重ねてきたために、環境変化に馴染めず「幽学生」になってしまっている人もいるのではないかと。部屋に引きこもってみたり、ゴルフに興じてみたり、旅行で現実逃避してみたり…。

   「お勉強」ができるだけでなく、アメリカ人ほか多様なクラスメイトや、今までと全く違う学び方の中に飛び込んでいける「タフさ」が重要な資質だと感じます。こう書くと、「アメリカに魂を売ったな!」と斜に構えた感想を抱く人たちもいますが、的外れです。逆に、「将来の日本のグローバル化をリードする人材」になるために「アウェーな環境で生きていけるサバイバル術」を身につけることなのだとポジティブに捉えるべきでしょう。サッカーのインテル・長友選手のように、スタジアム内外でチームメイトやファンに愛されるよう汗をかいて努力する感じですね。

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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