前回は、海外のヴァーチャルアシスタントに用件を依頼する話をしました。
(海外のヴァーチャルアシスタントというのは、用件や時間単位で、インドや中国に仕事を依頼できるタイプのサービスです。筆者はこれを活用しています)
海外のヴァーチャルアシスタントについては、「使える」という人と「使えない」という人に両極端に評価がわかれているようにも思えます。
わたしは「使える」と考える人ですが、使える使えないの境目は、たぶん頼み方の違いにあるのだと思います。
外国の低コストなサービスをうまく活用するには
日本人に物事を頼む場合は、あいまいな指示でもなんとかしてくれます。そんなかんじで、まずは適当にやっておいてください、といった指示でもなんとかしてくれる場合が多いといえます。依頼を受ける方は、本音では、そんな曖昧な指示はやめてくれとおもっているのでしょうが、うまく言い出せなかったりして、そのままデスマーチに突入することもあるようですが。
とにかく、日本の場合、あうんの呼吸や、なんとなくの指示が通用します。しかもそれが社内でしたら、なおさらでしょう。
しかし、社外に物を頼む、しかも文化も背景もしらない海外の人に物をたのむ場合には、そういう頼み方では、相手がいくら優秀でも的確に実行できません。
明確でクリアーな指示をする必要があるのです。
これは、日本企業が海外にアウトソースしたり、現地の人材を使ったりするのが苦手というのに通じる話だとおもっています。せっかく現地の人材が優秀で処理能力に長けていても、あいまいな指示のために、うまく動いてくれない場合があります。
それを、「使えない」と判断して、「日本人相手に商売するなら、日本人にあわせた空気の読み方を学んでもらわないと!」と憤慨するか、「低コストで優秀な人材を利用するためには、そのための指示の方法を身につけよう」とかんがえるかは分かれ目だと思います。
個人でも、後者のように考えれば、ちゃんと外国の低コストなサービスをうまく活用できるようになると思っています。
ヴァーチャルアシスタントで「指示出しの訓練」を
海外に物を頼む場合、(1)目的背景(2)成果物イメージ(3)クオリティや優先順位の3つを的確に指示する必要があります。
たとえば、「オフィスの机をもらうので、友人オフィスから、引っ越し手配をおねがいします」というレベルでは、たぶん難しい。もっと明確にする必要があります。
「(目的)友人のオフィスから不要の机をもらいます。コストの削減が目的ですから、なるべくコストの安い方法を探して、配送してください
(成果物)友人に連絡して、サイズを聞いて、運送業者に見積もりをとってください。少なくとも3つの業者に見積もりをとって、結果をメールしてください
(優先順位)は、コストです。配送は時間がかかっても構いません。また中古の机ですので、配送の安全性や保険も不要です。
配送費が3000円前後ですむ場合はそれで結構なので、その値段の見積もりをください。1万円といった場合はかかりすぎです。コスト削減方法を考えてベストな提案をしてください。机をばらして運ぶなどは一案です」
といった具合です。
海外や外部に指示するばあい、とくに大事なので、ほとんど場合明確な指示がなされないのは(3)の優先順位やクオリティに関する項目です。私の経験では、これを明確にすることで、海外のひとは、的確に賢い方法で、業務を遂行してくれます。
成果物を明確にしたり、優先順位をつけた指示をしたりというのは、なかなか慣れないと難しいことだと思います。ですが、逆転の発想で、ヴァーチャルアシスタントの利用を、指示出しの訓練の機会ととらえて、意識的にやってみてはいかがでしょうか?
あなたの指示の出し方がうまくなればうまくなるほど、適切な答が帰ってくるので、上達が目に見えてわかると思います。(大石哲之)