「こちらウチの社長っす」はOK? 「丁寧語っすよ」派VS「不快で殴りたくなる」派

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   仕事上のコミュニケーションで欠かせない敬語のスキル。言葉遣いで人を不快にさせてしまったり、逆に不快な気持ちにさせられたりするのは嫌なものだが、言葉に対する感性は人それぞれだからややこしい。

   タレント活動を再開して、最近テレビでよく見るようになったヒロミ氏。彼は昔から、大物芸能人相手にほぼ「タメ口」でトークすることで知られていた。くだけた言葉を使う後輩をタモリ氏らはかわいがったが、拒絶反応を示した先輩芸能人もいたとされる。もしあなたなら、年下の部下がやりとりのなかで「そうっす」と受け答えしたら、イラっとくるだろうか、それとも問題ないと感じるだろうか。

「敬意を含み、加えて親しさを表す」との指摘も

これ名刺っす
これ名刺っす

   サイト「発言小町」には、部下・後輩の立場からの質問が寄せられている。質問者は「○○っす」という言葉遣いを「丁寧語と解釈していた」とし、その根拠として「私たちは『っす』を先輩とか目上の人に対して使ってます」と書いている(2014年4月30日)。

   確かに「○○っす」という言い回しを後輩や部下に使っている姿は、あまりイメージできない。

   一方、相談サイト「yahoo知恵袋」には、「○○っす」と後輩から言われると、「殴りたくなります」という先輩側の声も載っていた(2013年10月29日)。質問者は、「○○っす」という言葉が目上の人間に対して使われるケースが「たしかに最近は多い」と指摘したうえで、違和感をあらわにしている。丁寧語などではなく、タメ口と感じているようだ。

   後輩は「丁寧語」のつもりで、「○○っす」と話しているが、先輩は「なぜタメ口なのか」と不快に感じ、「殴りたくなる」と思っている――そんなミスマッチな職場もあるのかもしれない。

   実際のところ、「○○っす」はどう受け止めればいいのか。ネットで検索すると、次のような専門家の見方もあることがわかった。

   中央学院大学の倉持益子氏(現・法学部非常勤講師)の論文「新敬語 『ス』 の使用場面の拡大と機能の変化」(2009年2月「明海日本語」)では、「○○っす」を新敬語とする先行の研究を引き継ぎ、この言葉に「『敬意』『親しさ』を相手に示す要素」があるとしている。「○○っす」は従来の敬語を崩してはいるが、敬意を含んでいるため敬語の一つと言え、加えて親しさを表している点が特徴だというのだ。

   同論文では、その使用場面は、学生同士の会話やバイト先、テレビ、ブログなどが多いと分析している。今後、その「場面」は拡大していくのだろうか。先に紹介した「yahoo知恵袋」の回答には、「言葉は生き物」であり、「100年後のビジネスマナーの講座では『こっちが社長っす』『これ名刺っす』って教えているかもしれない」との意見もあった。(RH)

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