アメリカの大学はブランディングの好事例
また、冒頭にも書いたように、ブランディングやレピュテーション向上、海外マーケット展開まで企業の課題は拡大しています。MBAでは、こうした変化に対応し、クライアントと対峙するにしても私たちがマネジメントとして広告会社の経営に携わるにしても役立つ経営ナレッジを学ぶ機会が豊富にあると感じました。例えばBOP(Base of the Pyramid)関連の著述でも知られるKarnani教授の授業では、最新のBOP戦略のケースから、「『消費者としてのBOP』だけでなく『生産者としてのBOP』を巻き込まないとビジネスにならない」「新興国の生活者の収入拡大、生活水準向上に伴って以前は『価格は半分、価値も半分』の商品・サービスで勝負できたのが『価格は半分、価値は8割』というものを提供しないとうまく行かない」という目ウロコの市場環境の変化を学びました。
さらに、アメリカの大学はブランディングの好事例のひとつではないかと思います。学費が高いということは、裏を返せば「Willingness to Pay(支払おうと思う金額)が高い」ということです。世界各地でのカンファレンス・リクルーティングイベントの開催やソーシャルメディア戦略、そして卒業生のネットワーキングにうまく投資しつつレピュテーション・ランキングの維持向上との好循環を生み出していると感じます。ミシガン大学MBAの1学年500人、さらには自分の上下を加えると計1500人にもなる経営人材のネットワークは私がキャリアで得た宝物の一つです。
最後に、全くもって個人的感想ですが、私が付き合ってきた広告業界の人材は非常に優秀で、MBAの学生たちと比較してもリーダーシップ、チームワークという面で引けを取らないうえに、創造性ではずば抜けていると感じます。実際に海外へ羽ばたき、クリエイティビティで世界を驚かせるプランナーやクリエイターの友人も出てきました。英語を始めとするグローバルコミュニケーション能力さえあれば世界のどこでも通用する、と確信しています。「内弁慶」になることなく、世界を相手に仕掛けて行きましょう。がんばれ!日本の広告業界!(室健)