アプリに3Dプリンターにソーシャルメディアに……と、次々と新しいテクノロジーが企業のウェブキャンペーンに入り込んでくるにつれて、「バナー広告」という存在は少し古くさいものに感じられるようになってしまったかもしれない。
そんなバナー広告という「伝統的」な媒体に、英会話スクールとしても知られる国際文化交流機関のブリティッシュ・カウンシルが「画期的」なテクノロジーを持ち込んだ。同機関がシンガポール、マレーシア、上海、バンコクの4か国で配信したバナー広告は、なんと英語を、それも発音まで教えてくれるのだ。
広告部分が「英英辞典」に
アジアで展開された企業キャンペーンを紹介するサイト「Campaign Asia」の記事(2014年5月20日配信)によれば、次のような仕組みだ。ユーザーが訪れた、ブリティッシュ・カウンシルのバナー広告が表示されたウェブページ上で、任意の英単語をマウスカーソルを使ってハイライトすると、表示されたバナー広告上にその単語の意味や品詞が英語で表示される。さらに「スピーカー」マークをクリックすると正しい発音を音声で再生できる。
たとえば、記事中の「frumpy」という単語の意味が分からず同単語をドラッグすると、バナー広告部分に「old fashioned and not attractive」と表示される。いわば英英辞典機能で、意味は「時代遅れで魅力的ではない」といったところか。意味だけでなく、発音が分かるのも心強い。
この広告は関心を集めたようで、企画した広告会社によれば、「広告が表示されたページを訪れたユーザーの51.8%がこれを体験し、平均2分14秒間、そのページに滞在した」という。ブリティッシュ・カウンシルが英会話スクールを展開していることもうまく伝わったかもしれない。
使い古された媒体だからこそ、アイデアがとても映えている。(岡徳之)