今や男性の20%、女性の10%が一生に一度も結婚しない時代。男性の生涯未婚率は、この30年で約8倍、女性は約2倍に増えました。なぜ若者は結婚しない、またはできなくなったのでしょうか?「社内結婚」が減っていることも、理由のひとつのようです。
かつて、若い女性社員が男性の「花嫁候補」と呼ばれた時代がありました。男性社員は、結婚すれば、子供の教育費や住宅ローンのために一生懸命働く(と思われていた)フシもあります。会社は毎年、ブランド短大や女子大から一定数を採用。「社員のお嫁さんにしても恥ずかしくない、きちんとしたお嬢さんを雇っている」という自負もあったのでしょう。女子社員にとっても、会社で出会う男性は、学歴・年収ともに保障されているので安心でした。
「花嫁候補」が減った理由
結婚相手に「自分よりちょっと下の女性」を求める男性は多いものですが、昔の女性は、仕事を通して自然に「ちょっと下」をアピールできました。お茶くみやコピー取りなど、男性の補助的な業務を任せられることが多かったからです。「自分より少し上の男性と結婚したい」女性にとっても、外でバリバリ仕事をこなす男性は魅力的に映りました。同じ職場で一定期間、働くうちに、自然と仲良くなれたのです。
「女性は内勤、男性は外勤」という役割分担は、結婚後の「妻は家庭、夫は仕事」を連想させます。かつては男女ともに、仕事内容が結婚後の生活イメージに結びつきやすかったのでしょう。会社には、結婚のチャンスが沢山ありました。ところが社内結婚の割合は、出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)によると、1992年の35%をピークに少しずつ減少し3割を割り込んでいます。なぜでしょうか。
気になるのが、90年代後半以降、正社員として働く女性が減っていることです。その代わり増えたのが、派遣やパート。総務省の労働力調査によると、1985年には32%だったのが、2010年には54%もの女性が非正規で働くようになりました。かつて「花嫁候補」だった一般職も、どんどん派遣社員に置き換わっています。ITによる業務効率化で、単純な事務作業をする女性を雇う必要がなくなったという事情もあります。