伸びるのは、初めの「ゆっくり」に気づく会社
次に、成長の好機をつかむにはどうしたらよいかのテーマに移り、篠原氏は「新興国」「情報」の二つの爆発を挙げた。新興国という言葉は1981年に世界銀行職員が名づけたそうで、つまり「40年前、新興市場は存在しなかった」(英エコノミスト誌)。ところが、2010年には世界のGDPの3分の1を新興発展途上国経済圏が占め、GDP成長に対する寄与度は3分の2に及んだ。2050年の労働人口53億人の7割が新興経済圏になると見られている。つまり「後から来る者は速い」。一方、情報面ではITを駆使して妊娠判断、牛の分娩期の自動検知、自販機の売れ筋商品を並べる場所などが分かるようになり、商機が広がっている。建築・土木や小売り、農業などの成熟産業は、成熟なるがゆえにIT化で優位に立つ好機という。
「新興国」「情報」は、初めはゆっくりだったが、やがて爆発的になった。篠原氏はそこで、伸びる会社は初めの「ゆっくり」に気づく会社であり、そこでもリーダーシップ、ソリューション能力、組織力で戦う中堅・中小企業が気づきやすく、成長の好機を探し出せると期待を寄せた。
しかし、中堅・中小企業には課題もある。85%が人材の確保が難しいと回答している(日経リサーチ&GEキャピタル共同調査)ことだ。機動力と気づきで優位性を持つ中堅・中小企業が、いかに人材を確保し、成長していけるか。篠原氏は「中堅・中小企業、頑張れ!」とエールを送る。(管野吉信)