私が代表を務める広報ブレーンでは毎月、メディア幹部をお招きし、講演をお願いしている。かつてJ-CASTニュースの大森千明編集長(兼ジェイ・キャスト社長)にも、有力WEBメディアの代表としてご登場していただいた。この(2014年)5月の講演は、日本経済新聞社の篠原洋一編集局次長兼日経産業新聞編集長。日本を代表する経済紙の編集幹部がどのように産業や企業を分析しているかは、多くの人が関心を寄せると思われるので、特別にご紹介したい。
とくに印象に残ったのは、中堅・中小企業に寄せる期待であり、日経産業新聞があらためて中堅・中小、ベンチャー企業の取材に力を注ぐとの方針説明だった。中堅・中小、ベンチャー企業にとっては紙面に取り上げてもらうチャンスである。「社会への影響力」「よそにない特徴」に磨きをかけ、新聞に掲載される企業を目指していただきたい。
社内の組織階層が少なく、組織力で戦いやすい
篠原氏によれば、失われた20年に株価が伸びた会社ベスト・テンは、ニトリホールディングス、ヤマダ電機、日本電産、久光製薬、ユニ・チャーム、タムロン、ケーズホールディングス、キーエンス、参天製薬、しまむら。何と、東京に本社を置く会社が一つもない(一部の社は、2本社制で東京本社もあり)。いずれも、リーダーの顔が良く見えるのが特徴という。
また、日経の調査によると、同じ業種でも戦略や競争力の違いで格差が生じている。伸びる会社は変化する会社であり、技術力、グローバル力、機動力がその条件となっている。代表的な例は、日産自動車や富士フイルムだ。とくに富士フイルムの場合、ライバルのコダックが倒産してしまったのに対し、見事な転身を図った。篠原氏によると、中堅・中小企業はリーダーシップが発揮しやすく、現場主義で顧客との距離が短いのでソリューション能力も高い。また、社内の組織階層が少なく、組織力で戦いやすい。つまり、機動力があり、成長の好機に集中できるというわけだ。