「降格&部下昇進」で恥辱を与える 人事ターミネーターからの「お達し」

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   会社が急速にグローバル化し、人事評価基準が「全世界拠点共通」になり、自分の評価がガタッと落ちる。

   その後は、人事部や上司から少しでも仕事ぶりを向上させろと、英語やプレゼンテーション、ファシリテーションなどの研修漬けの日々が待ち受けるとは先週お伝えした通りだ。

「つまりは、相手の息の根を止めるということですよ」

破壊してターミネート?
破壊してターミネート?

   しかし、この研修を受ける態度が悪い、あるいは研修後、仕事ぶりに目覚ましい成果が見られないと上司に判断された時には、究極の「お仕置き」が待っているそうだ。

   日本に上陸して50年以上の歴史を持つ外資系金融機関のマネージャー香山雄一氏(仮名)が言う。

「しまいには、人事部がいうところの『ターミネート』が待っています」

   これを聞いて筆者は、アーノルド・シュワルッツネガーが主演していた随分前の映画「ターミネーター」を思い出した。

   ターミネートとはこれいかに?

   辞書を引くと、「終える」「終結させる」といった意味のようだが……。

「つまりは、相手の息の根を止めるということですよ」(香山氏)

   具体的には、9ブロック評価やその後の研修で、会社に出来が悪いと判断された人材の役職が取り上げられる。

大概の人はたえかねて辞めていく

   その際は、相手に心理的な打撃を与えるために、ドラスティックな人事がなされる場合が多いという。

「部下を昇進させ、その上司を降格させるなどしてひっくり返し、元上司に恥辱を与えるなど、良くある話です」

   役職を取り上げられてしまっては、当然、給料もダウンする。

「日本では、一気に給料を半分程度にすることは法的に禁止されており、激変緩和措置といって、数年かけて半分にしていきますが、その途中で、大概の人は恥辱と居づらさにたえかねて辞めていきます」(同)

   あるいはヒラ社員をターミネートする場合は、その上司に、その人材を村八分にするように、人事からお達しがくるという。

「あの部下の提案を全部潰しなさいとか、無視しろとか小学生のイジメなみのことをしなければいけない。
   部下に酷い態度をとるのが嫌で辞めていく上司もいるほどです」(同)

   まさに、ターミネーター(相手の息の根を止める者)だ。(佐藤留美)

佐藤 留美(さとう・るみ)
ライター。企画編集事務所「ブックシェルフ」(2005年設立)代表。1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、現職。著書に、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)、『なぜ、勉強しても出世できないのか?』(ソフトバンク新書)、『結婚難民』(小学館101新書)などがある。
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