成果は理研のもの、不正は個人のもの… 不祥事の際に問われる「格式」について

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一挙手一投足を見て、顧客や社会は評価する

   しかし、STAP細胞は理研の広報が認めて発表したのであり、今回のような問題が起きなければ「さすが理研」との名声が世界にとどろいたはずである。問題が起きたから、「理研ではなく、研究不正行為」というのは納得しかねるのだが、いかがだろうか。私には、理研の格式が問われているような気がしてならない。

   中堅・中小企業はオーナー型企業が圧倒的に多い。オーナーの実力、個性で社業を拡大してきた分、オーナーが絡む不祥事には誰もが口をつぐむ。株式上場をしていなければ、公表義務もないから、オーナー自身も発表しようとしない。信用が失墜して、顧客が離れ、銀行から融資が受けられなくなれば、たちまち倒産の危機に瀕するので、その心理はよく理解できる。しかし、顧客や社会に悪影響を及ぼす不祥事であり、発覚する可能性が高いのなら話は別である。公表して、顧客や社会的な被害を最小限に食い止めることが、自らの企業生命を助けることにもなる。リスクマネジメントは一筋縄ではいかない。公表するかしないか、どのように公表するかの一挙手一投足を見て、顧客や社会は評価することを忘れてはならない。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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