部下の素朴な質問に「へ理屈言うな」は禁物

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   最近のニュースで『極めて異例』という言葉をよく耳にする。ごく最近であれば、米国・オバマ大統領と安倍首相の日米首脳会談に関して。最大の焦点であるTPP交渉が合意に至らず共同声明が先送りされる『極めて異例な』事態に…と報道された。ただ、この言葉が頻繁に使われ過ぎのような気がしてなりません。それだけ、日本人が常識に捉われているからかもしれません。

   さて、これを職場に置き換えてみると、どんな組織にも不思議な習慣のひとつやふたつはあります。例えば、あいさつや組織内の序列など。ただ、大きな違和感がない限り「気にすることもない」と疑義を発することなく終わる。

「いえ、嫌ではありません。理由が知りたかっただけです」

なぜこんな習慣が?
なぜこんな習慣が?

   ところが、なかには気にして習慣に対する質問をぶつけてくる人がいます。そのような部下に対して、どのように対処したらいいのか?ちなみに、一昔前であれば

「この習慣はおかしいと思います」

と反対意見を明確にもって対抗してきたもの。ところが、最近は少々違っているようです。とくに若い社員たちは、異を唱えるというのではなく、純粋に質問だけをしてくる。ちょうど、そんな質問がされた場面に遭遇したことがあります。

   その職場では毎朝、各自の机をピカピカに磨いてから、仕事をはじめる習慣がありました。

   創業オーナーが「心を清らかにするために、朝の掃除を徹底するべし」と決めたことで、社員たちはそれに従ってきました。ただ、そのオーナーも去り、ごく普通の会社になった現在「綺麗にするのはいい事」と何となく続いている慣習でもありました。

   この習慣に、入社3年目の若手社員が

「なぜ毎朝掃除をする習慣があるのですか? 必要があるのですか?」

と疑問をぶつけてきた。すると上司は《きっと、掃除をするのが面倒だと思っているに違いない》と決めつけて「掃除をすることに反対なのだね」と切り返し、睨みつけた。周囲は対決場面になるのではと心配したが、若手社員は意外な回答を返してきました。

「いえ、嫌ではありません。理由が知りたかっただけです。教えていただけませんか?」

   想定外の回答でした。ただ、困ったことに上司も適切な回答が出来ませんでした。ただ、その後もその部下は組織内の不思議な習慣をみつけると必ず質問をぶつけてくる。上司も理由を知らないことは恥ずかしいと感じて、悩み始めてしまった。それだけ職場には説明がつかない異例なことが慣習として行われていたということになります。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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