最適な経営スタイル・組織構造を考える
(3)進出を実行する
さて、進出する国が決まったらどのように実行するかを考えます。内部リソースを活用する、業務提携を行う、M&Aするといった手法が考えられますが、ここで重要なのはもう一つ上の概念、「どのような経営スタイル・組織構造が適しているか」を検証することです。(図2)に挙げたように、縦軸に「グローバル共通化による利点」、横軸に「ローカル対応の重要性」を取ります。産業のタイプを鑑み、どちらも「高」であれば「Trans-National」つまり国同士の連携を図る経営スタイルが有効です。前者が「高」、後者が「低」であれば「Global」すなわち本社によるコントロールが効果的でしょう。逆に前者が「低」、後者が「高」であれば「Multi-Domestic」、それぞれの国に権限委譲して独立した経営を行うべきです。
当然のことですが、(1)~(3)を一人で考えたり調査したりすることは不可能で、非効率です。「他国に進出する」ということは企業全体や部門としての大きな戦略になると思いますが、複雑化する意思決定プロセスを一元化して管理する(=フレームワークを統一する)ことは大変有効に感じます。さらに言えば、MBAでのレクチャーやプロジェクトを通じて、アメリカ発のグローバル企業はこれが得意だと実感しました。(室健)