「グローバルか、それ以外か」の二元論はNG もっと緻密な海外戦略を立てるために

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最適な経営スタイル・組織構造を考える

(図2)海外進出戦略のフレームワーク
(図2)海外進出戦略のフレームワーク

(3)進出を実行する

   さて、進出する国が決まったらどのように実行するかを考えます。内部リソースを活用する、業務提携を行う、M&Aするといった手法が考えられますが、ここで重要なのはもう一つ上の概念、「どのような経営スタイル・組織構造が適しているか」を検証することです。(図2)に挙げたように、縦軸に「グローバル共通化による利点」、横軸に「ローカル対応の重要性」を取ります。産業のタイプを鑑み、どちらも「高」であれば「Trans-National」つまり国同士の連携を図る経営スタイルが有効です。前者が「高」、後者が「低」であれば「Global」すなわち本社によるコントロールが効果的でしょう。逆に前者が「低」、後者が「高」であれば「Multi-Domestic」、それぞれの国に権限委譲して独立した経営を行うべきです。

   当然のことですが、(1)~(3)を一人で考えたり調査したりすることは不可能で、非効率です。「他国に進出する」ということは企業全体や部門としての大きな戦略になると思いますが、複雑化する意思決定プロセスを一元化して管理する(=フレームワークを統一する)ことは大変有効に感じます。さらに言えば、MBAでのレクチャーやプロジェクトを通じて、アメリカ発のグローバル企業はこれが得意だと実感しました。(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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