御社の「意識改革」が浸透しないワケ トップの意向を「通訳」する極意

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重要なのは「いかに行動で示すか」

   Fさんはその経験をM社のサービス改善に活かし、社長の言う「意識改革」をいかに具体策に落とし込んで「お客さま第一」を来店客に伝えるかを考えました。全店長からクレームの実態をつぶさにヒアリングし、「電話は必ずスリーコール以内で取る」「お子様向けサービスのご案内など、お子様連れ歓迎の姿勢を示す」「どんなオーダーも可能な限り前向きに対応することをアナウンスする」等々の具体的な行動ルールを決めて、現場の習慣づけをさせることにしたのです。

   Fさんの狙いはズバリあたりました。銀行よりも多少時間はかかりましたが、辛抱強くルールを守らせる行動指導を続けることで2~3年後には顧客満足度が非常に高い店として全国的に有名になり、同業の見学が相次ぐまでになりました。

「要するに、具体的な行動だけがお客さまに直接訴えかける方法なのだってこと。例え社長が社員の意識改革を求めていても、お客様が評価するのは行動だけですから。いかに行動で示すかなのです。この一件以来、私は何事においてもそれを心掛けてきたのです」

   社長の要望をいかに顧客の要望に「通訳」するか、それが社長参謀役の役割である―。

   Fさんが言うところの『トップの通訳』とはそういう意味であったかと、甚く納得した次第です。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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