「テプラの楽しさ」を感動気味に語るエリート女子
「印刷の"ステープル"機能(自動で、用紙を仕分けホッチキス止めする)が分からなくて、バラバラの資料を1部1部ホッチキスで止めようとしたんだけど、分厚くて止められないのよ。結局、派遣の女の子に頼むことになっちゃって……」と語るエリート女子。自分より年下の派遣社員たちは、印刷の機能から裏紙の使い方まで、優しく教えてくれるそうです。
エリート女子であるA美さんと、派遣社員女子たちの年収には、2倍以上の開きがあります。人事部門で働く社員には、転職してくるエリート女子と自分の年収差も分かってしまう。簡単な作業のひとつもこなせないエリート女子を見て、派遣社員たちは内心、「高いお給料をもらって、こんなこともできないなんて……」と、呆れるかもしれません。が、それも、エリート女子の「経験値」が高すぎるがゆえのこと。これまで「上流」の仕事しか経験してこなかったため、細々した事務作業は苦手なのです。
「テプラって使ったことなくて、ラベル作るのにも一苦労よ。でもあれ、楽しいのね、派遣の子に教えてもらって……」と、感動気味に語るエリート女子。教える側は、「こんな簡単な作業、どうやって教えればいいんだろう。上司としてのプライドもあるだろうし……」と、エリート女子との接し方に悩むのでした。
過酷な競争に疲れ、挫折も味わって転職してきたエリート女子。彼女たちは転職先で、前の職場では感じづらかった「事務仕事」の想像以上の大変さ、ありがたみを感じているのです。その経験値の高さに由来する「不器用さ」を褒めてあげるくらいが、エリート女子の能力を引き出すにはいいのかもしれません。(北条かや)