「研究不正のクライシス対応」をMBA流に分析 「危機をチャンスに変える」マネジメントとは

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シナリオ、そして戦略へ。反応を予測せよ!

(2)シナリオを描こう

   「成果は華々しいが、いくつか疑問点が存在する」「ソーシャルメディアで議論を呼んでいる」といった「Pre Crisis」の段階から今後どうなっていくのか複数のシナリオを予測することが大切。「Crisis」の段階では「問題が発生してからの個人・組織の対応は正しいのか?」「組織防衛に走って真の原因追及に向かっていないのではないか?」といった議論が起こりそうです。最後に、「Post Crisis」段階では「(不正があったとすれば)落とし前の付け方は正しいのか?」「再発防止策は十分か?」といった点が問われるでしょう。

(3)シナリオをベースに戦略を構築する

   「Pre Crisis」では「Prevention」と「Preparation」が重要です。「その組織は研究不正を防ぐ手立てを持っていたのか?」「その組織は研究不正が引き起こすクライシスに対応するプロトコルを準備していたのか?」。これらがない組織では、クライシス対応が対症療法になってしまって本質的な解決に結びつかず、ダメージが深刻化するケースが多いです。「Crisis」においては、「Identification」と「Solution」が肝要。「問題を引き起こした真の原因は何だったのか?」「今回の問題についての最終的な対応策と再発防止策は?」ここでは、一時の対症療法ではなくシステムとしての解決策が取られているかが決め手となります。「Post Crisis」は「Learning」と「Recovery」。「再発防止策がどう組織で実行されているのか?」「組織のメンバーの日々の仕事の進め方はどう変わったのか?」をどう社会に示し、納得してもらうかがレピュテーション回復のカギとなります。

   組織はその場しのぎのクライシス対応ではなくシナリオに基づいた戦略を立てて臨むべきで、メディアや生活者は「目を引く見出し」に紛らわされることなく本質を捉えられるようになると良いなあ、とアメリカから願っています。(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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