「ブラック」と呼ばれるかどうかは社長次第 厳しい業界内でもこんなに違う

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コミュニケーション役として動きまわる社長

   そう言うと社長は一言、「大関さん、現場をご覧になりますか?」と私に提案しました。恐らく現場を見てもらえれば、他の施設と自社の違いを分かってもらえる、そんな自負から発せられた一言であると私は理解し、その申し出に応えることにしました。

   数日後約束の時間に同社の施設を訪問すると、まだ社長は到着前でした。しばらくして社長が登場すると、私への挨拶もそこそこに、職員一人ひとりに笑顔で話しかけます。

   管理者的な男性職員には、

「○○くん、がんばってますか。体は大丈夫かい。何かあったらいつでもすぐに相談するんだよ」

   女性ヘルパーさんには、

「××さん、でしたね。分かります私のこと。どうですか、困りごとはないですか。困りごとは所長に相談して、ラチがあかないなら私に連絡くださいね」

   さらには、入居のお年寄りを捕まえて、

「いかがですか、私は本社の者ですけど、快適ですか。職員は良くしてくれていますか。ご要望は遠慮なく申し出てくださいね」

   こんな調子で、O社長は小一時間施設内をコミュニケーション役として動きまわり、気が付いた点を事細かにスタッフに指示します。時間に遅れたのも、実は他の施設で同じように現場コミュニケーションをしていたのだと。そんな社長の様子を見て私は、以前とある老人施設の現場ヒアリングで耳にした現場女性スタッフの言葉を思い出しました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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