「女性スタッフのひと言」に耳を傾け大成功 「先入観」は禁物だ

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きっかけがないとなかなか敷居が高い

「当店のメイン・ターゲットである30~40代女性の心理として、ずっと入ってみたいと思っているお店でもきっかけがないとなかなか敷居が高いものです。私は複数の友達からも、『一度あなたが働いているカレー屋さんに行ってみたいのだけれど、なかなかチャンスがなくて』と言われています。彼女たちみたいなお客さんは実はたくさんいると思います。彼女たちが『なかなかない』と言う来店のチャンスを与えてみてはどうでしょうか」

   一言でチャンスと言われても難しいのですが、彼女はそのあたりも心得ていて、「ワンコインで、当店の代表メニューをセットで食べられるようなお試しメニューがあれば絶対来る」と胸を張ります。新規獲得はハードルが高いという先入観でハナから外していたのですが、より顧客寄りのしかも生の声を踏まえた提案が出されたことで、既存客向けの妙案が浮かばない以上、その方向で具体策を検討してみようということになりました。

   彼女の具体案は、ターゲット層の女性はあれこれ食べられてお得感のあるものが大好きとの考えから、「ハーフサイズの野菜カレー+手作りカレーパン+サラダ+ドリンク+デザート」という、500円でとんでもなくゴージャスなメニューでした。私からコスト管理をうるさく言われている店長は、「そこまでは無理」と言いかけたのですが、私がそれを制して「良い発想をもらったのだから、やるなら中途半端じゃダメだ。新規顧客の取り込みが目的なら多くの新しいお客さんに来てもらえるよう、思い切ってその案でいってみようじゃないか!」と決断を下しました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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