私が主催している海外起業体験プログラム「サムライカレープロジェクト」では、老若男女だれの参加も受け付けています。
しかし、ある日届いた参加申込書を見て「さすがにこれは断るべきか…」と思いました。
彼は、44歳でまだ一度も海外に行ったことがなかったのです。
東京とプノンペンとの「落差に耐えられるのか…」
東京生まれ東京育ち。東京の会社に勤務して、英語で話をする経験もなし。海外旅行どころか、1週間以上連続で東京都以外に宿泊した経験もないという時点で「(カンボジアの)プノンペンとの落差に耐えられるのか…」と思ったのです。
サムライカレープロジェクトは、起業体験プロジェクトというだけあって、現地どっぷりの生活をします。道が舗装されていないところもあるので、砂埃によって部屋はすぐに汚れます。原料調達は、どローカルの市場なので、日本語はおろか英語も通じません。街中には電車はもちろんバスもほとんどなく、タクシーすら目にすることは稀なのでトゥクトゥク(原チャリで荷台を引っ張る乗り物)がメインの乗り物になります。
世界屈指の清潔さを誇り、街中に美しく機能的に陳列されたスーパーマーケットがあり、分刻みで電車が動く東京とは別世界。44歳での初体験でカルチャーショックでパニックにならないか、実に不安でした。
転職の合間に、サムライカレーに参加することにした彼。動機を聞いてみると「今まで体験したことがない世界を知りたかった」
「だったら、体験してもらおう」ということで、思い切って来てもらうことにしました。
実際参加してみると、私の心配は杞憂でした。
空港に迎えに行くべきか…と思ったのですが、あえて自力で来てもらったら、トゥクトゥクが1時間以上迷ったあげく何とか到着。新メニュー開発担当に任命したところ、市場で材料を勘で仕入れることはもちろん、向かいのおばちゃんに現地のカレーの作り方を教えてもらって自分でつくるところまで到達。休日には、せっかく来たのだからと、35度の炎天下の中、街中を歩き回って、プノンペンライフをエンジョイしていました。
海外での生活になじむかなじまないかは、年齢じゃない。気の持ちようなんだな。なんてことを再認識しました。